双風亭日乗

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2005年5月 6日 (金)

子どものアニメ?



 テレ朝で毎週やっているアニメ「ドラえもん」を、娘と欠かさず観ている。観ているといっても、たいていは食事の準備をしている時間帯なので、流して観ているのが実情なのだが。さすがに、この年齢になってしまうと、娘のようにドラえもんへ没入することはできない。


 だがしかし……。先週のドラえもん(4月29日放送の「どくさいスイッチ」。子ども番組では、あり得ないタイトル!)は、すごかった。あらすじを簡単に記しておこう。


 まず、野球でヘマばかりするのび太を、ジャイアンらがいじめる。さんざん嫌な思いをして帰宅したのび太に、「人を消し去るボタン」をドラえもんがあげる。外出すると、ふたたびジャイアンやスネ夫がのび太をいじめようとする。そこで、困ったのび太は、そのボタンを押してしまう。すると、ジャイアンもスネ夫も目前から消え去ってしまう。


 人が簡単に消えてしまった衝撃にのび太は驚き、帰宅後、ドラえもんに「消した人たちを元に戻したい」というが、ドラえもんは冷たく「それはできない」という。昼寝をしたのび太が、世の中のさまざまな人びとにいじめられる夢を見た。寝苦しさのあまり、腕をあげたその場所に、そのスイッチがあり、押してしまった。


 そして、社会から人が消えてしまった。のび太以外の……。


 知人の家を訪ねても、誰もいない。はじめは不審に思っていたのび太も、社会に自分ひとりしかいないことを確認すると、自分が「独裁者」になったと考えるようになる。好きな場所から勝手に、好きな食べ物やおもちゃを持ってくる。すべてのモノが自分のモノになったことを喜ぶ。


 しかしながら、のび太はだんだんと、自分ひとりでは生活が成り立たないことを自覚する。そして、困り果てたときにドラえもんが登場し、「独裁者」になっても面白くないし困るだけだと諭したうえで、元の社会にのび太を戻す……。


 この内容が、視聴対象の子どもたちに理解できるのかどうかという疑問は残るものの、そんな些細なことはどうでもよく思えてしまうくらい、インパクトのある内容であった。


 なぜ私がドラえもんを観て、こんなに盛り上がっているのか? 簡単にいえば、私が十数年暮らし、研究の対象でもあったカンボジアのポルポト政権を、番組を観ながら思い出してしまったからだ。たった30分の番組のなかに、ルサンチマンや反逆、殺人、孤独といった、独裁者にまつわるキーワードが詰め込まれ、番組をしっかり観れば、それらの意味がなんとなくわかるようになっていたのも驚きだった。


 ドラえもんは、侮れない。


 そういえば、なかなか「ひとり出版社」の話にならなくて、申し訳ありません。


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