双風亭日乗

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2005年8月22日 (月)

トークセッションについて 2



 またもや葉っぱさんから、問題提起をしていただきました。「関西方面でもトークセッションやろうぜ問題」です。さらに、中堅版元の編集者punktさんからも、「ほんとうは、やりたいんだよね」コメントをもらいました。返答が長くなりそうなので、新たなエントリーとして私の考えを記します。


 著者の住居も版元も、たくさん本が売れる書店も、すべて東京周辺に集中しているというのは事実ですね。弊社の本の売上動向を見ても、紀伊國屋書店新宿本店と三省堂書店神田本店、リブロ池袋本店、ブックファースト渋谷店で、全体の3割くらいを占めています。この4つの「店舗」で、弊社の売上の3割ですから、かなりのシェアとなっています。ちなみに、チェーン店ごとの売上動向では、1位がジュンク堂書店チェーンで2位が紀伊國屋書店チェーン、3位が三省堂書店チェーン、4位がリブロチェーンとなっています。こうした事情と出張旅費が出せないのが重なって、現状では、販売にしろイベントにしろ、「東京重視、やむなし」といわざるをえません。


 punktさんが「関西にはABC(青山ブックセンター)がない」とご指摘しておりますが、ごもっともです。たしかにABCの存在はでかいと思います。けっきょく、姜×宮台対談も宮台×北田対談も、ABC本店でやりましたし。書店経営者と書店人の「理念」のようなものが、そこにはあるような気がします。いわば「しゃべり捲くれ」的なものですね(なんていったら、ABCの方に「ちょっと違うぞ」といわれてしまうかもしれませんが、あえて……)。その理念には、私も100%共感します。ジュンク堂書店や三省堂書店、リブロ、そして紀伊國屋書店にも同様の姿勢を感じます。


 で、「東京以外でイベントやりたい」の話。それこそ、イベントやって、それの起こしを本誌に掲載すれば、いいのになあと思ったりします。とはいえ、版元の規模が大きいほど、「一般公開」した「対談」の「起こし原稿」をバカにする傾向が強く、「書き下ろし」または「語りおろし」じゃなけりゃ「原稿」じゃないと思っている節がありますね。


 姜×宮台『挑発する知』も、某先輩から「内容は、すでに彼らがどこかで書いたり話したりしていること」を「うまくつなげた」だけのもの、などとご批評を賜ったことがあります。とはいえ、イベントに来た「のべ700人」の聴衆が楽しめて、「その程度のもの」が直販で1万部以上売れて、読者も版元も著者もすこし幸せになれれば、この『イベント+書籍化』企画は大成功だと思っています。


 イベントを書店でやってみて、気づいたことをひとつだけあげます。それは、書店人との接点が格段に増えて、書店人と著者との接点をつくれて、結果、書籍化の際に書店人の販売モチベーションがあがる、ということです。これは大きいですね。このことは書籍でも雑誌でも同じことでしょう。イベントをやって、活字にして、結果として本誌の売上があがるのであれば、上司も文句がいいにくくなるのでは。


 以前、ブログで書きましたが、「イベントができるのは、聴衆を集められるだけの人気がある著者を、その版元が抱えている場合にかぎられる」し、「そんなイベントは、所詮、東京でしかできないのだから、地方軽視だ」などといわれたこともあります。前者の問題については、「それなら、イベントが成立するような著者とコンタクトをとってください。それも版元の技量のうちです」としか答えようがありません。後者の問題については、前回と今回のブログで私の考えを記しました。東京以外を軽視しているわけではありません。やりたいのだが、そこでイベントをやる資金がないのです。


 資金の問題をのぞけば、版元にしろ書店にしろ、あとは「決裁」の問題になると思います。イベント開催の決裁権が、現場の書店人や末端の編集者にあるのかどうか。何でもかんでも上司に報告しながらすすめないと、話が進まないのであれば、イベントの実現はなかなか難しいでしょう。なにより著者は、「いまだから、これがいいたい」というタイミングだからこそ、イベントに参加するわけです。よって、「トークやりましょうか」と版元が著者に提案してから、イベントを実施するまでの「スピード」が、速ければ速いほどいいわけですね。


 そういう意味で、三省堂書店神田本店やABC本店、ジュンク堂書店池袋本店、リブロ池袋本店については、現場の書店人と話を進められるので、企画を持ち込みやすいのです。版元サイドは、私がひとりでやっているわけですから、時間のロスはありません。こうした書店サイドの「決裁」に関する問題も、書店でのイベントを考える場合のポイントになるような気がします。


 いずれにしても、前回も触れましたが、本がたくさん売れたら、かならず関西でトークをやります。葉っぱさん、しばらくお待ちください。(なーんて書いていますが、このままジリ貧で終わるかもしれませんし、いつ潰れてしまうかわからない虫けらのような版元であることは、十分に自覚しているで、あまり大きなことはいえないのですが……)


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トークセッションについて 2:

コメント

ストレートな返球をありがとうございます。punktさんからの実情報告についても、愉しい出張が出来ることも祈願しつつ、システムとしてあたりまえにトークイベントが出来るようになればいいですね。
サイン会はよくやっていますが、ぼくはあまり興味がないですね。現役書店時代、寺山修司のサイン会をやったおり、当日、急遽、間に合わなくなり中止になった。それで、寺山さんは翌日、罪滅ぼしにとサイン会だけでなく、ビル内の喫茶店でファンの方たちと二時間ほどの「喋くり」をやりました。僕を入れて五人ぐらいで、女子高校生、大学生、浪人生たちともっぱら寺山さんが進行係で話が弾み愉しかったです。サイン会ではこうはいかないですね。
一番、新しい体験はブックファースト梅田店、三階の喫茶室で行った「茂木健一郎トークイベント」でした。ぴぴさんも参加しました。ただ細長い喫茶室で十数人しか入れない、喫茶代として500円徴収でブックファーストさんから整理券をもらいました。ネットで公開されたら、すぐに完売、そりゃあそうでしょう。確か、十五枚ぐらい、あとは当日会場に来てもらい、立見で無料です。梅田店はリニュアール・オープンしたばかりなので、決済がおりたのでしょう。トークは物凄く楽しかった。あんまり笑いすぎて、ぴぴさんから笑われました。せっかくなのでサインをしてもらおうと、並ぶと、茂木さんはサービス精神が旺盛ですね、一人一人に、ヘタウマ(笑い)なイラスト入りのサインをしながら、話し込むのです。社交でなくマジに色々話すもんだから、列が中々前に進まない。こんな楽しいトーク・サイン会はなかったです。
ただ、残念なことに梅田ブックファーストでそれ以降二回目のトークイベントがないことです。(確か)こういうイベントはシステムとして継続してほしいですね。
ジュンク堂池袋本店はちゃんと、副店長が担当になってシステムとして稼動しているでしょう。ABCもそうでしょう。僕のかっての本屋とか、その他の本屋さんで、単発で、現場の担当者からの強い要望で決済では心許ないですね。
前日、保坂和志さんの例を出しましたが、保坂さんって結構出版流通事情について詳しく保板に時々書くのですが、著者として書店としてのつながりで版元を飛び越えてサイン会をしようとすると、色々問題があった、中々ムツカシイ、って書いていましたね。
<陸這記>の仲俣暁生さんも「極西文学論」の版促で著者自身にある程度任せてくれれば、本を持って書店周りをしながらサイン会をするのにと具体的に印税の数値を上げて検証していました。売れ部数の何%かを印税以外に支給してくれる契約のもとに営業を積極的にやってみたいと書いていたですね。この問題に関しては著者の方たちは熱心だと思います。仲俣さんの提案は著者自らが、インセンティブ契約まで踏み込んでいるのでしょう。
極端に言えば初刷りの印税は現物給付で例えば原価ギリギリの6掛けちょっとで、著者に渡す。それを著者が直に書店まわりと配送もする。しかし、これは取次ぎの流通システムに混乱をさせるし、ムツカシイですね。端から取次ぎが取り扱わない商品なら問題がないですが、ここはあくまで取り次ぎ在庫の商品です。当然、再版維持制度の問題も関ってくる。

長くなりそうですので、いつか僕のブログでエントリーレポートをします。では…。

投稿: kuriyamakouji | 2005/08/22 10:14:08