双風亭日乗

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2005年10月16日 (日)

『デリダの遺言』が配本前に重版!



 すでに書きましたが、『デリダの遺言』の初版は1500部でした。しかしながら、事前注文が1500部を超える見通しなので、配本前に500部ほど重版しました。こうなってくると、用紙・印刷・製本のコストを考えれば、「初版で2000部、刷っておけばよかったじゃん」という話になります。


 とはいえ、一般の版元が取次経由で「配本」しているのとは事情が異なり、弊社は書店から注文があった部数だけ出荷しています。つまり、一般の版元ですと、取次の仕入窓口にいって、「こういう本を出します。この本は、こんな素晴らしい本なので、たくさん配本してください。500部ほどお願いします」などと担当者に依頼します。そして、数日後に電話をすると、「あの本の配本部数は400部です」と担当者が教えてくれます。


 拙ブログでもたびたび触れましたが、この取次配本はくせ者です。どこにどれだけ新刊を配本するのかを決めるのは取次であり、配本先のデータはカネを出さないともらえません。ようするに、ブラックボックスのなかに本を放り込むようなものであり、当然ながら配本した商品を必要としない書店もあります。「こんな本を配本されても、ウチでは置けないよ」となる。大先輩であるトランスビューや弊社の受注方式ですと、基本的には「その本を置きたい」という書店のみに商品が配本されます。


 受注数がどれくらいになるか、事前に想像したうえで初版の部数を決めます。想像するときには、著者のこれまでの本の動きやつくった本の内容なども含めて検討するわけですが、なによりも怖いのは刷りすぎで在庫が余ることです。余れば、倉庫代がかかってきます。上記のような、あまり無駄のない受注方式なので、返品はすくないのですが、それでも返品が来れば、その分の倉庫代がかかる。とりわけ、ずーっと売れなかったら、在庫分の諸経費(用紙・印刷・製本など)がすべて負の遺産となってしまう……。


 創業1年目は、そういったことがよくわからず、景気よく本を刷っていました。結果、在庫の山となり、印刷屋への支払だけが残りました。これを教訓に2年目から、勝負をかける本以外は、必要最小限の部数しか刷らないことにしました。当たり前といえば、当たり前ですね。つまり、いろんなことを考慮しつつ、必要最低限の部数を初版の刷り部数にするわけです。


 で、いろいろなことを考慮しつつ、初版部数を確定する期限がおとずれ、印刷屋に刷り部数を告げます。今回の場合、部数を告げる直前までの受注数は1300強でした。「まあ、200部くらい余っていればいいだろう」と考えたわけです。ところがその後、余るはずの200部についても注文が入りました。このままだと初版をすべて出荷してしまい、もし補充や追加があった場合に対処できない。というわけで、急遽、500部を増刷したのです。


 「読みが甘いなあ」と思われても仕方がありません。「2000部にしておけば、だいぶ経費が安くなったのに……」という後悔も、すこしだけあります。それでも、初版1500部で正解だった、という思いを強くもっています。私が想像した『デリダの遺言』の事前注文数は1500部であり、それ以上の受注については「運がよかった」からいただけた、などと思ったりします。500部ほど増刷したからといって、それがすべて売れるかどうかはわかりません。しかし、500部くらいであれば、弊社でも売れなかったときのリスクをかぶれる、ということになりましょうか。


 いずれにせよ、こうして慎重に本を刷ってはいるものの、じゃんじゃん売れて、仲正さんの思想ができるだけ多くの人に伝わることを願ってやみません。ぜひご一読を!


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