双風亭日乗

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2006年4月13日 (木)

NHKのチーフ・プロデューサーによる使い込み問題について



報道局のチーフ・プロデューサー(CP)が多額を使い込んで免職になったことが、「きっこの日記」に書かれていますね。


私自身、NHKのある子会社にいる某プロデューサーが、仕事を発注しているプロダクションから多額のキックバックを受け取っているという、かなり信憑性のある情報を聞いています。正直いって、なぜバレないのかが不思議です。というか、バレない(バレにくい)システムがあるのかもしれません。


それはそうですよね。1本で500万円とか1000万円とかで丸投げされて番組をつくり、それで社員の給料を出している下請けプロダクション。彼らにしてみれば、ほとんど何にもしない元請け会社のプロデューサーにキックバックを払うのなんて、理不尽なこと以外の何者でもありません。でも、いまのテレビ業界は厳しいですから、発注してもらっているということ自体が利権になっています。よって、某プロデューサーからキックバックを「請求」されれば、いやだとはいえないのも実情だといえます。また、下請け側の社員レベルの人が事実を知っていて、「この野郎」と思っていても、「君の会社には、もう発注しないよ」という神の声が存在するかぎり、それを口に出してはいえないでしょう。


こうした状況を、某プロデューサーの同僚に聞いてみましたが、その人はよく知りませんでした。それは、NHKならびに同子会社の場合は、CPまたはプロデューサーになってしまうと、ほとんど他人のチェックを受けないまま、多額のカネを動かすことができてしまうからのようです。


NHKで番組をつくる人は、入局するとプログラム・ディレクター(PD。民放ではディレクター)となり、経験を積むとデスクになり、さらに経験を積むとCPになります。カンボジアでNHKの番組をつくっていたときには、さすがにキックバックの相談をもちかけてくるPDは存在しませんでした。彼らは口々に「最近、経理がうるさくって」といって、必要最低限の経費で番組をつくるべく、苦心しておりました。以前は、PDレベルでも、無駄金をばんばん使っていたという伝説はあるようですが、最近は聞いたことがありません。やはり金銭問題の多くは、CP以上のレベルの人にあるのでしょう。


で、何でこんなことを書いたのか。


たしかにNHKはどうしようもない段階に突入しており、会社はダメ、会長もダメ、役員もダメ、一部の幹部職員もダメな状況になっているのでしょう。そのことは、多くの社員も語っております。


だかしかし……。そんな逆境にいながらも、日々、黙々と良質な番組をつくっているCPやPD、そしてカメラマンや音声さん、そして編集さんが、たくさん存在するということを言いたかったわけです。すくなくとも、私が知るCPやPD、そして技術スタッフは、世間にとがめられるようなことはしていませんし、いまもルーチンで黙々と働きつつ、ときにすばらしい番組をつくっています。


志のある番組をつくろうとしても、日中だらだら生放送を流すなど、くだらぬ番組編成のおかげで、なかなか番組づくりのワクが手に入らない、というようなことはあります。これぞ教養番組というものを企画し、採用されておきながら、不祥事連発アンド予算削減により企画がボツにされてしまった、というようなこともあります。


それでも、テレビというメディアだからできることを追求し、世のため人のためになるような番組をつくろうという志のある人は、NHKの内部にもまだまだたくさんいるのです。そして、「あんたは甘い」といわれるかもしれませんが、そういう人がいるうちは、かろうじて自浄の可能性がNHKにも残されているではないか、と私は考えたりしています。あくまでも「かろうじて」としかいえないところが、大いに問題なのかもしれませんが……。


NHKという大看板は、表向きは立派だが、裏にまわるとつぎはぎだらけの張りぼてと化しているのかもしれません。しかし、昨日も今日も、志を持ちながらテレビ番組をつくっている人びとが、ボロボロとなった張りぼての屋台骨を支えている、ということは忘れたくありません。


いま、どこにでも見られる「NHKはどうしようもない」という意見はごもっともなのですが、そこだけ見ていると見誤る部分が生じるのではないかと思い、こんなことを書いてみました。


読めばわかると思いますが、使い込みCPやら某プロデューサー、さらにはNHKや同子会社の体質をかばっているわけでは、けっしてありませんのであしからず。


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