双風亭日乗

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2007年3月 7日 (水)

斎藤環さんのセミナーにいってきました




話はとてもおもしろかったです。


でも、ひじょうに遠かったです。


大阪・吹田市の阪大は、わが家から片道四時間。かつ日帰り。



昨日のセミナーは、阪大大学院が主催するもので、斎藤さんが語ったテーマは「脳はなぜ心を記述できないか」。いま日本は脳科学ブーム。脳で人の心や社会が説明できるかのような言説に対し、斎藤さんが疑問を投げかける、という内容でした。



『文脈病』(青土社)と『生き延びるためのラカン』(バジリコ)の2冊のエッセンスを抽出した内容に、くわしい解説を付けるかたちで話されていました。


今回の話の前提だけメモしておくと、まず脳については、たいしたことがわかっていないということ。にもかかわらず、脳科学を根拠にする行き過ぎた言説が多いこと。その証拠に、「ゲーム脳」や「脳内汚染」などというあまり根拠のない言説が量産されていること。つまり、脳が危険なキーワードになっていること。さらに、科学の学問的な倫理として、記述の限界を踏まえることがたいせつだということ。



そこから先は、前述の2冊を読んでいないとすんなり理解できそうにないので、くわしい内容の紹介は控えます。ようするに、心の問題と脳の問題とを、安易に結びつけるのはどうか、と斎藤さんは問いかけているようでした。



たしかに、脳の問題というのは、素人にはよくわからない。脳に科学がついて「脳科学」となってしまえば、それを聞いただけでなんとなく「そうなのか~」なんて、うなずいてしまうこともあるでしょう。とくに私などは人文系ですから、理系がつむぎだす人文系の言説に、いままでは安易にうなずいてしまっていたような気がします。



今回、そんな私に「ちょっと待ったー!」と斎藤さんが声をかけてくれたのかもしれません。しかし、ちょっと待つためには、ある程度の予習が必要なんですね。だって、「ちょっと待ったー!」と斎藤さんにいわれ、何が問題なのかわからないまま「はい、待ちます」というのでは、よくわからないけど脳科学を信用してしまっている状態と同じことですから。



ですから、もしこのブログを読んでいる方のなかで脳科学に興味のある方がいらっしゃったら、ぜひ上記の2冊を一読してみるのがよいかと思います。そうすれば、「脳はなぜ心を記述できないか」がなんとなく見えてきます。そうすれば、きっと「脳は心を記述できる」と書かれている本を注意深く読むようになると思います。



勉強になりました。ありがとうございます、斎藤さん!



※写真は、生まれてはじめて見た「太陽の塔」です。


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