2007年10月10日 (水)
誰の視点から年金を見るか
朝方まで仕事をしていました。
眠い目でテレビを見ていると、日テレの朝のニュースで辛坊さんが年金問題について解説していました。
いつもはタカ派っぽい発言が多い辛坊さんですが、年金と所得格差に関する解説は、なかなか目をひくものがありました。
辛坊さんは、4つのデータを提示しました。
ひとつめは、「年収200万円以下、1千万人超える 民間給与統計」(2007年09月28日08時00分、asahi.com)に見られる所得格差のデータ。
ふたつめは、世代間の所得格差に関するもので、いかに若年世代の所得がが減っているのかを示すデータ。
みっつめは、国民年金を受けとっている人たちの平均受給額が年間240万円前後であり、共済年金に加入していた人たちの受給額が、さらに2割増しであるというデータ。
よっつめは、現在の国民年金の保険料についてのデータ。20歳以上60歳未満であれば、たとえ無職であっても保険料は一律で14,100円。この保険料は段階的に引き上げられ、2017年には16,900円前後になる予定。
これらのデータから導き出される問題は、年収200万円で月々14,100円の保険料を払っている1000万人以上もいるなかで、年金を受けとっている高齢者の平均受給額が年間240万円という状態は、いかがなものかというものです。正確には、保険料を引いたうえでの年収が180万円ちょっとの人たちが、働かなくても240万円をもらえる人たちを支えているということになります。
辛坊さんは、公務員の夫婦が退職した場合の事例をあげていましたが、その場合の年金受給額は、ふたり合わせて600万円くらいあったりするわけですよ。そういう人たちを、年収180万円ちょっとの人たちが支えている。こうした「格差」はまずいと指摘したうえで、年金の財源を消費税にするなどして、低所得層の人たちからは年金をとらないような措置も考える必要がある、と辛坊さんはいっていました。
年金のそういった問題点はあまり騒がないまま、参院選では年金受給者の論理を徹底して擁護した民主党が大勝し、その民主党は現在の国会でも、徹底して年金問題を追求しています。「年金をもらえるはずなのに、もらえていない人をどうするのか!」とか「ちゃんと年金を払っている人たちのデータ管理もできないのは、なっちょらん!」とか。
いまつくっている本のなかで赤木さんが指摘していますが、与党も野党も論戦の基準は年金受給者もしくは近年に年金を受給される側の論理ばかり。ようするに、既得権益層からの支持を取りつけられるような、ある世代またはある層に限定して支持されるポピュリズムを唱えているだけです。追求する側の民主党も含めたすべての野党も、追求される側の自民党も、既得権益層に目が向いています。
一方で、上記のような若年世代や低所得層にとっては不安定で不公平な年金システムそのものについて、与党も野党もあまり触れようとしません。なぜなんでしょう。票が減るからなのかなあ?
そうなってくると、若年世代や低所得層の人たちに政治不信がまん延してしまうのも当然のことであり、「年金なんてバカらしくて払ってられないや~」と思って不払いをつづける人が増えるのも当然でしょう。
だって、もし自分が汗水たらして働いて、年収200万円しか得られないのに、すくない年収のなかから自分が払った保険料で、働かずに年間240万円をもえる人たちを支えていると思うと、せつない気分になるではありませんか。たとえば、働かずにもらえる年金の額が、年間160万円とか170万円というように、見かけ上であれ年収200万円の人よりも少額であったりすれば、そのせつなさはすこしくらい減るかもしれませんけれど。
社会保障のたいせつさは、東南アジアのどこかの国で数年暮らせば、身にしみてわかります。他方、なければないで、どうにかなっている事例も、たくさん目にしました。結果として、ないよりもあったほうがいいとは思います。とはいえ、年金制度の現状が、それこそ「若者殺し」のような状況になっていることに目をつむり、既得権益層にウケのいい部分ばかりを議論していては、それこそ「若者を見殺しにする国」になってしまうような気がします。
そうなると、若年世代と低所得層の人たちが政治に希望が見いだせないので選挙にいかなくなり、政治家は票になる既得権益者の利権確保に走り、既得権益者は利権保持のために選挙にいき、当選するのは既得権益者の利権保持を公約にする政治家ばかりとなり、票にならなかった若年世代と低所得層の人たちにまったく目を向けない国政が維持される、という悪循環になってしまうかもしれません。
しかし、制度を変えるためには、政治家に希望を託すなり政治的なロビイングをするといったことは必要不可欠ですから、若年世代と低所得層の人たちが選挙にいくなりなんなりして、それにコミットしないかぎり、なにも変わらないどころか、制度がどんどん自分たちから離れていってしまうということになりかねません。
ポイントは、若年世代と低所得層の人たちの政治参加へのモチベーションづくりなのかもしれませんが、幻滅しているものに希望を見いだせといっても、説得力がありません。
どうすりゃいいのか、宮台さんに聞いてみようかなぁ?
日乗 | コメント (0)
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