2007年12月 3日 (月)
地デジと地震
SMAPの草薙剛をイメージキャラクターにして、地上デジタル放送(地デジ)のCMが盛んに流されています。また、郷ひろみをイメージキャラクターにして、BSデジタルの普及が3000万件に達したというCMが流されてもいます。デジタル放送普及のための広告宣伝予算って、どれだけあるんでしょうか。
さて、2011年7月24日に地上アナログ放送(地アナ)は、地デジに完全移行されるとのこと。個人的には、地アナで何の不自由もないので、わざわざ地アナを地デジに変える必然性をまったく感じません。まあ、高画質・高音質とか双方向性とか、いろいろいいことが言われていますが、「そんなの関係ねぇ!」なんですよね、ほんとは。
とはいえ、お上が決めたことですから、したがわなきゃならない。デジタル対応のテレビを買って、チューナーを買わなければ、上記のメリットは享受できません。また、デジタル非対応のテレビでも、信号を変換すれば地デジは見られるけれど、上記のメリットはまったく享受できません。つまり、お上のお達しの元、遠回しに「テレビを買い換えろ」といっているようなもんですよ、これは。
このように文句を言いつつも、テレビが大好きな私は、2011年になったら地デジ対応テレビを買ってしまうかもしれないわけです(笑)。それでも、これはちょっとマズイだろうと思うことがあるんですよ。
さっき、NHKの深夜放送を見ていたら、緊急地震速報というのをやりはじめるといってました。これは、気象庁が提供する地震警報システムを利用して、本格的に地震が揺れる前に、テレビなどを使って地震警報を発するというものです。
すこし具体的に。地震は、初期に揺れるP波を事前に発し、そのあとに本格的な揺れであるS波が到達します。P波とS波の時間差が平均で15~20秒。つまり警報によって、その時間差の分だけ、本格的な揺れが到達する前に、地震の現場は地震が来ることを知ることができるわけです。
で、テレビ各局はそのシステムを導入することにより、「視聴者のみなさまに緊急地震速報を届けられる」といっています。あることに関して、まったく頬被りしたままで……。その「あること」とは、地デジの導入によって、緊急地震速報の報道する時間が地アナよりも数秒遅れる、ということです。
地デジの送信は、従来の地アナよりも、かなり多くのデータを処理する必要があるため、放送局から発信してから家庭で受信するまでに、数秒(2秒くらい?)の遅れが生じます。ということは、緊急地震速報を報じる際にも、当然ながら地アナのときよりも数秒遅れるんですね。
数秒っていうけれど、緊急時における数秒って、かなり重要なのではありませんか?
その数秒で救われる人は、けっこういると思うんですよね。とくに地震では。したがって、地デジ化によって生じる数秒のタイムラグは、緊急地震速報を報じる場合のデメリット以外の何ものでもありません。
にもかかわらず、緊急地震速報を開始することは報じても、そのタイムラグについて報じる局は、ひとつもありません。地デジの評判を落とすようなことは、報じてはならないという各局の申し合わせでもあるんでしょうか。そう勘ぐりたくもなります。
ちなみに、こうして地デジはリアルタイムで放送を届けることができなくなるため、朝昼夕と画面のすみに表示される「時報」がなくなるようです。番組録画の際にも、時間指定で録画することができなくなり、地デジで取得した番組表の番組単位で録画するようになるとのこと。
ちょこっと調べてみると、日立のプリウスというテレビパソコンのサポートページでは、「Prius Navistation4 でテレビ番組を録画する方法」として、基本的な操作手順を手引きしたあとで、「地上デジタル放送の録画予約は、番組単位の予約のみ可能です。時間を指定して録画予約することはできません。(録画時間を手動で調整することはできません。)」と補足していました。
http://prius.jeevessolutions.jp/je/faq.asp?fid=103539
百歩譲って、ちょっとしたデメリットなら、「まあ、いわなくてもいっか」というのもアリだと思います。しかしながら、いくら地デジを普及したいからといって、人命に関わるデメリットに頬被りをするのは、ちとマズイのではありませんか。
この件については、武田徹さんがだいぶ前に指摘していました。それが頭に残っている中で、NHKの自慢げな「緊急地震速報、はじめます」みたいなスポットを見たので、今回、ちょっと文句が言いたくなりました。
日乗 | コメント (7)
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コメント
このタイムラグが無くなる様に声を大にして働きかけるべきだと思います。
投稿: たかあき | 2007/12/03 14:49:01
地震.....むちゃくちゃ恐いですね~。オマケにデジタル導入の為、緊急地震速報がアナログよりも遅れるなんて、こんな馬鹿な話があるでしょうか!!! たとえ数秒と言えども、緊急の場合の数秒は、すごく長く感じます。その数秒でどれだけの人達が助かる事か..... 台風にしても雷にしても気象庁はレーダーから注意報や警報など発令してます。地震は突然です!! 地震の前では人間はなす術がありません!! NHKは私達に、何ぉ訴えたくて、緊急地震速報なんて、訳の解からない物ぉ導入したんでしょうか。疑問です。
投稿: きらりん | 2007/12/03 15:42:42
地デジ化は、官民一体の「国策」ですから、基本的にはしたがうしかないとは思います。こんな本格的になる前の段階で、反対の気運が盛り上がればよかったのでしょうけれど。
地デジ化では、官から民に設備変更のための補助金がでて、その補助金で設備業者が利益を得る。テレビの買い換えやチューナーの購入で、家電業界や小売業界も利益を得る。停滞したテレビ業界は、高画質だなんだという新鮮さを視聴者にアピールできる。
そして視聴者は、「へぇー、そうなんだ……」といって、狐につままれたような気分で何となく納得する。
そんな構造なんだと思うのですが、これは放送利権の問題が深く絡んでいて、電波が利権になっていることの是非から考えないと、場当たり的な対処しかなされないと思うんですよね。
投稿: lelele | 2007/12/03 16:19:12
私はとある地方に住んでいます。
この記事を読んでとても強いショックを受けました。と云うのもCATV(約千数軒)の理事をしております。地デジの問題で色々物議をかもしております。こんな問題が有る事も知らずに国策に振り回されて、とても無念に思います。
投稿: 小川 正人 | 2007/12/03 17:45:11
認識低いよ、発生から2秒で遅れるってことはすごいことなんだよ。
今までは、地震がおきてから各局の人間が確認してテロップ出してたから、1分以上かかっていたはず。
投稿: 通りすがり | 2007/12/03 18:13:59
「すごいこと」というのは、放送関係者同士の会話では通用しますが、一般の人にとっては「そんなの関係ない!」ですよ。
ちなみに、私の元同居人はテレビ局で働いていて、ちょっと前までカメラを担いでいたので、放送技術が飛躍的に進歩していることは、ある程度は理解しています。
でも、そんな進歩は、地震多発地域のおっちゃんやおばちゃんには、まったく関係のないこと。彼らには、1秒でも早く地震の前触れがわかったほうが、放送技術が進歩することよりもたいせつなんだと思うのですが。
投稿: lelele | 2007/12/03 19:57:31
地震国日本。恐ろしい肩書きですね。大地震が来ると我々は覚悟しなければいけないのでしょうか.....
投稿: ターコイズダスト | 2007/12/03 21:05:13