双風亭日乗

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2008年4月20日 (日)

北田さん、東さん、がんばれ!

20080420005608
北田暁大さんと東浩紀さんの編集による『思想地図 vol.1』(NHK出版)が届きました。NHKブックスの「別冊」で、468ページの分厚い記述となっています。

とても野心的な試みだと思います。数年前の私も、このような本か雑誌を作りたいと思っていました(これから作るかもしれませんが)。だから、うらやましいですね~。

最近、どこかの方が「ゼロ年代の言論」という特集を組んだ「論座」を小馬鹿にしていました。しかし、内容以前の問題として、三〇歳代の書き手を積極的に起用する雑誌(とくに月刊誌)は「論座」しかないのも事実です。

どの雑誌を見ても、登場するのは四〇歳以上の書き手ばかり。それも、それぞれの書き手には役割分担が決まっているので、新しい風の吹きこむ余地がありませんでした。

そんな状況のなか、「論座」につづき、若手の書き手を積極的に起用する『思想地図』の編集姿勢、くわえてこれを編集した北田さんと東さん、そして思い切った企画を実現したNHK出版のOさんに、敬意を表します。

これからじっくり拝読しますが、ざっと読んだ印象からいうと、大学の「紀要」をすこし軽めにしたような本だと思いました。討論会や鼎談などがちりばめられていますが、たたずまいは「紀要」そのものであるように思います。オビで「ゼロ年代のアカデミズム」をうたっているので、狙いどおりの構成なのかもしれません。

反対に、カバーデザインはオレンジ色が基調で、榎本俊二さん(私のなかでは、あの『GOLDEN LUCKY』を書いた偉大な漫画家!)のイラストが描かれていて、ポップな印象です。が、個人的には「オレンジはどうなのかなぁ」と思ったり。

そして、ポップなデザインに包まれた「紀要」の読者ターゲットは、いったいどこに設定しているのだろう、などと考えるわけです。

どれだけ刷るのか存じあげませんが、468ページの「書籍」で本体1500円というのは、出版社としては勇気のいる値付けです。逆に、どんなにページが増えたとしても、1500円前後じゃないと、10代から30代の読者はなかなか買ってくれないという現実もあるでしょう。

私としては、当たり前のまとめになりますが、この本は若手の読者に読んでもらいたいのはもちろんのこと、若手の書き手になかなか書く場所を与えない大手出版社の年長編集者とかにも、ぜひ読んでもらいたいと考えています。

弊社の著者である北田さんと韓東賢さんが参加していることですし、今後も応援していこうと強く思っています。

この『思想地図』には、「あんたも早く、なにかやりなよ!」と刺激していただきました(笑)
ずるずると私情にとらわれていては、いけませんなあ。
よっしゃー、がむばろう!

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北田さん、東さん、がんばれ!:

コメント

私も『GOLDEN LUCKY』好き(というより衝撃を受けた)なのでびっくりしました。
今度、(浅草のバーででも?)拙稿の感想聞かせてくださいね。

投稿: H | 2008/04/20 13:14:27

同じ30代なので、複雑な心境です。
「オレも同年代なのに頑張らねば」と焦りもするし、
「オレは踊る側ではない、踊らせる側だ」と不遜にも思うし、
「オレはこんな勇気ない。。。」と単純にヘタレな自分を確認したり。
とにもかくにも、社内の身内がこうした雑誌を刊行したことには、勇気づけられます。
やっぱり頑張らねば!

投稿: | 2008/04/20 16:08:16

↑名前書き忘れました。ざんじです。

投稿: ざんじ | 2008/04/20 16:13:02

ざんじさま、コメントありがとうございます。それぞれの人が、いまいる場所で、自分ができることをすればいいんだと思います。実際、わたしも「がむばろう」なんて書いてますが、ゆるゆるですから(笑)

投稿: lelele | 2008/04/21 12:02:12