双風亭日乗

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2008年5月21日 (水)

せつない悪意

20080519103908
先日、自転車で上野のバーにいきました。
21時くらいから1時間半くらいバーにいて、外に出て自転車に乗ろうと思いました。
すると、自転車のシートから煙があがっているじゃありませんか。

近づいてみると、吸いかけのタバコが、火を消さぬまま、シートにのっかっていました。
のっけたてのほやほやだったので、そのとき近くの横断歩道をわたっていた男性が犯人だったのかもしれません。

私の自転車は、竹熊さんがもっている「流星号」とおんなじやつ。ミニサイクルに電動アシストが付いたエアロ・アシスタントという自転車です。かれこれ買ってから1年くらいたちますが、坂が多い谷中に住んでいたときには、電動アシスト機能がたいへん役立ちました。

それにしても……。
なんで吸いかけのタバコを自転車のシートに置いたりするんでしょうね。
ほんの一瞬、怒りの感情がわきあがりましたが、それを超えるかたちで、すぐに「せつなさ」とか「さみしさ」を感じました。

犯人の方は、その日、なんか嫌なことがあったのかなぁ。路上に自転車が放置してあるのが、気に入らなかったのかなぁ。カッコいい自転車だから、持ち主がうらやましくて、いたずらしてやろうと思ったのかなぁ(これは冗談ですが)。

こんなことをやらざるをえない犯人の気分は、どんなものなのでしょう。彼には、自転車のシートに吸いかけのタバコを置くことの罪悪感よりも、その行為(まあ、犯罪なのですが)のスリルや爽快感、または放置自転車に対して制裁をくだしたことの満足感とか、あったんでしょうか?

彼がやったこととその結果は、けっして許したりしません。でも、こんなことをやらざるをえなかったという彼の振るまいが、私にはどうもせつなく感じられ、さみしい気分で上野から浅草への帰路についたのでした。

ドバイのように「犯罪率ゼロ%」(ほんとかどうかしりませんが)というのも異常だと思います。基本的に、犯罪なんてあって当たり前で、いくら予防とか防止してもなくなりにくいものでしょうから。

しかし、他人の自転車のシートに、吸いかけのタバコをポンと置いてしまうような人がいる社会っていうのも、ちょっと世知辛いような気がします。普通は、思いつかないじゃないですか。そんな陰険でいじわるでひねくれたことをやろうなんて。

嗚呼、このままシートを放置すれば、雨の日に水がしみ込んで、ズボンとパンツがびしょびしょになっちゃいます(笑)。かといって、新品のシートを買うお金など、いまはないし……。「せつない悪意」を持った彼は、怒りの感情を私に残すことはありませんでしたが、シートの交換というお金がかかる現実を残していったのでした。

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