双風亭日乗

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2008年6月10日 (火)

出版業界あれこれ

論創社さんのウェブページで、「出版状況クロニクル」という小田光雄さんの連載がはじまりました。すばらしい試みだと思います。同連載では、一カ月ごとに出版業界のおもな動きが紹介されるようです。

小田さんは出版業界にくわしい評論家(出版社も経営)で、『出版業界の危機と社会構造』や『出版社と書店はいかにして消えていくか』などの優れた著書があります。

以下、拙ブログの読者に向けて、「出版状況クロニクル」(2008年4月1日~5月20日)のいくつかのトピックを引用させていただいたうえで、私がコメントをくわえてみます。なお、〔〕内は小田さんによるコメントです。

1. 朝日新聞出版スタート。 〔八〇〇〇万円という資本金から考えると、たちまち膨大な赤字を積み重ねることになろう〕
たしかに資本金8000万円はすくないっすね。既刊本の点数だけでも膨大。在庫管理の費用だけでも、お金がかかりますよね。いざとなったら、本体(朝日新聞社)が助け船を出すのでしょうか。本体のほうも、「論座」を休刊にしてしまったら、雑誌的オピニオンを発する場が朝日にはなくなってしまいますね。どうするんだろう。オピニオンなんて、もういらないのかな?
4. 公取委、流通実態ヒアリング開始。再販制廃止の方向にあると伝えられる。 〔『出版業界の危機と社会構造』の影響か〕
再販制の廃止は大賛成。再販制の維持を唱えている会社や人は、昔ながらの護送船団方式で既得権益の維持を試みているように見えます。いまの出版不況と呼ばれる状況は、守ることばかり考えず、ぶっこわす勇気なくして改善の余地なし、と思うのは私だけでしょうか。
7. アマゾン、新刊委託を大阪屋から日販へ。 〔これも日販が大阪屋を上回る取引条件を出したということなのか〕
これを聞いたときには、驚きました。弊社は、大阪屋さんとの取引関係が「直販」の「物品扱い」なので、今後もいままでどおり新刊は大阪屋さんに納品しますが。噂では、大阪屋さんもかなり薄い利益を前提に、アマゾンさんと取引をしていたと聞きます。小田さんが指摘するとおり、日販さんは、大阪屋さんよりもさらに薄い利益を提示して、新刊委託の契約を勝ち取った可能性大ありです。
8. 草思社、文芸社の子会社化。 〔サラ金が銀行を傘下に置くような印象〕
「サラ金が銀行を傘下に置く」とは絶妙な表現です。
14. 大手書店閉店ラッシュ。旭屋銀座店・水道橋店、三省堂町田店・八王子店、紀伊国屋パークタワー店・船橋店。 〔今年の後半はさらに激しい閉店ラッシュとなるだろう〕
営業にいったことのある書店が閉店すると、やっぱりさみしいですね。

以上

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» [出版/流通]シコふんじゃった。がために、失われた10年? トラックバック 葉っぱの「歩行と記憶」
出版業界の危機と社会構造 作者: 小田光雄 出版社/メーカー: 論創社 発売日: 2007/11 メディア: 単行本  出版流通に関しては、この人の歯に衣を着せぬクールな分析に一目も二目も置いているのですが、とうとう、ネット配信を始めましたねぇ、論創社出版状況クロニクル 1の... 続きを読む

受信: 2008/06/11 17:30:41

コメント

「最後に、再販制の継続は、出版業界の「金」の流れを支え、遠隔地に本を行き渡らせるという意味では仕方のないことなのかもしれないけれど、」(http://d.hatena.ne.jp/lelele/20070812)

去年の時点ではどう仕方なかったんでしょうか?

投稿: 質問 | 2008/07/19 17:58:54