双風亭日乗

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2008年10月10日 (金)

『軋む社会』の重版決定!

9784902465136
おかげさまで本田由紀著『軋む社会』の重版が決まりました。読者のみなさまのおかげです。ありがとうございました!

昨日、品切れになりました。来週木曜に重版出来の予定です。注文していただいた読者や書店の方々、しばらくお待ちください。

さて、さきほどマンションの玄関に、チラシがたくさん落ちていました。おそらく、ポストに投函されたものを、住人の誰かが落としていったのでしょう。私のマンションのポストには、毎日3~5枚くらいのチラシが投函されているんです。

美容院、寿司屋、ピザ屋、マッサージ、風俗、不動産などなど。マンションの玄関横にはゴミ箱があって、そこには日々、たくさんのチラシが捨てられています。住人が部屋に持ち帰らず、その場で捨ててるんですね。紙の無駄遣いもいいところです。

紙の無駄遣いといえば、新刊配本というシステムも一歩まちがえれば無駄遣いになりかねません。出版社は取次をとおして新刊を配本するわけですが、配本する部数も配本する先の書店も、ほとんどは取次が決めています。取次が独自のデータとノウハウを活かしておこなうパターン配本というやつですね。

私の知る範囲では、このパターン配本によって、欲しい新刊が届く書店もあるし、いらない新刊が届く書店もあります。さらに、欲しい新刊が届かない書店もある。で、欲しい新刊が届く書店は何の問題もありませんね。また、欲しい新刊が届かない書店については、新刊配本からは遅れますが、出版社や取次に注文すれば欲しい本は手に入ります。

問題は「いらない新刊が届く書店」です。そういう書店の多くは、いらない新刊を数日だけ平積みか棚差しにした後ですぐ返品したり、場合によっては送ってきた新刊をそのまま返品することもあるそうです。そりゃそうですよ、注文していない新刊が入ってきたら、書店人だって販売するモチベーションが高まらないでしょう。

出版社は、取次が「いらない新刊を書店に届けている」ということを、おそらく知っています。しかし、すこしでも数字上の売上をアップし、かりそめの運転資金を得るために、そのことを容認している出版社が多いのではありませんか。まあ、そうやって返ってきた新刊の返品を、再生したあとで売れ行きのよい書店にまわせるようであればしあわせですが、なかなかそうもいかないのが実態だとお見受けします。

返品が再生して出荷されなければ、在庫として抱え込むか、断裁することになります。断裁された紙がリサイクルされているのかどうかは、よく知りません。いずれにしても、本も断裁されてしまえば、マンション玄関横にあるゴミ箱に詰まったチラシの束とおんなじです。

弊社も新刊をたくさん刷りすぎて、在庫の山を築き、断裁してしまった経験があります。そんな経験があるので、最近は刷り部数の確定を注意深くおこなうようになりました。その大前提となるのが、「欲しい書店に欲しい数の新刊を届ける」ことと、「欲しくない書店には新刊を届けない」という当たり前のことです。

弊社は、書店に対して事前に新刊の詳細を紹介し、注文をいただいた書店に対し、注文をいただいた数の新刊を届けています。JRCさんという取次とお付き合いしていますが、パターン配本は一切やっておりません。ですから、欲しくない書店には弊社の新刊は届きません。

もちろん、新刊配本の仕組みについては、出版社の規模や新刊の点数などによって、さまざまなパターンがあろうかと思います。とはいえ、共通していえることは、欲しくもない新刊を書店に送りつけることの無駄だといえましょう。用紙代、印刷代、製本代、配送代、種々の手数料……。すべて無駄です。

手前味噌になりますが、冒頭で紹介した『軋む社会』の返品率は、発売から4カ月ちょっとで3.8%です。また、『若者を見殺しにする国』は発売から約1年で同11.7%。いま、日本では書籍の返品率が4割といわれてますから、だいぶマシなほうだと思います。このようにマシな状態で本が売れているのは、パターン配本のような仕組みで、欲しくもない新刊を書店に送りつけるようなことをやっていないことも、おおきな要因だと考えています。

一方、新刊の刷り部数というのは、注文部数を注視しながらも「勘」で決める場合が多いので、思うように注文が集まらず、未出荷の在庫を抱えてしまうことは考えられます。そして、売れない在庫は断裁することになります。無駄ですね。しかし、この場合、すくなくとも目先の資金をかき集めるために、欲しくもない新刊を書店に送りつけるような愚はおかしていません。この点は、けっこう重要だと思います。

新刊の売れ行きは、第一に著者の力、第二に企画の力、そして第三に営業の力によって左右されるものだと思います。第一と第二の力は、出版社それぞれの持ち味があるでしょう。第三の力についても、出版社独自のものがあるのかもしれません。しかしながら、第三の力を使うときに、欲しくもない新刊を書店に送りつけない程度の努力は、できるんじゃないのかなあ。それだけでも、だいぶ返品率は下がると思うのですが。

そんなわけで、上記2冊の返品率はとても低くて助かっているのですが、我が暮らしは一向に楽な状態にはならないのは、これいかに。

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