双風亭日乗

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2008年11月26日 (水)

中小企業を見殺しにする国

弊社は昨年10月末に、32歳のフリーターだった赤木智弘さんによる『若者を見殺しにする国』を刊行しました。赤木さんは、企業、社会、そして国が非正規雇用者を排除する仕組みとその問題点を、分厚い記述によって訴えました。

あれから1年前……。今度は、日本が「中小企業を見殺しにする国」になりつつあるようです。「若者」の次は、「中小企業」かよ。どうなっているんだい、日本国政府。

今回の見殺しは、ひじょうにわかりやすいかたちで進んでいます。中学生にもわかるんじゃないんですか。なにしろ、見殺しの原因は、首相が約束をやぶったことなんですから。

麻生太郎首相は、2008年10月30日の首相記者会見で追加経済対策を発表し、「国民のための経済対策」の一環として、以下のように明言しています。

第二に、中小企業・金融対策であります。
これから年末にかけて、中小企業の資金繰りは苦しくなります。第一次補正で、緊急信用保証枠を6兆円としましたが、その後の国際金融情勢が、より厳しいものとなっております。中小企業、小規模企業の資金繰りをより万全なものとするために、私の指示で20兆円までこの枠を拡大します。
また、政府系金融のいわゆる緊急融資枠を、3兆円と前回しましたが、これを10兆円まで拡大します。合わせて約30兆円の対策となります。

つまり、この会見で首相は、今年は不況で、年末には中小企業の資金繰りがきびしくなるので、食いつなぐための運転資金を貸すための緊急資金として、「第一次補正」予算で6兆円、第二次補正案で24兆円を準備する、と公言したわけです。

ところが、同年11月25日の時事通信によると、首相は第二次補正予算案の提出を、次の国会に先送りにしたとのこと。そして、景気対策を優先するという理由で衆議院議員選挙を先送りにしてきたことは、今回の第二次補正の先送りは矛盾すると指摘した記者に対し、首相は「(経済重視の姿勢と)全然矛盾していない。1次補正でかなりの部分が進んでいる」と反論。さらに、すでに成立している第一次補正で中小企業向けの資金繰り対策が進んでいると指摘しました。

首相側近の細田博之自民党幹事長は、「中小企業が年末に倒産してしまうという人がいるが、1次補正で既に年内は10兆円を保証する枠が用意されている」などと言いだす始末。ちょっと考えれば、首相も細田さんも、いっていることがおかしいことに気づきます。

追加経済対策で打ち出した30兆円は、それだけの金額がないと中小企業の資金繰りが年末に苦しくなる、という基準で算定し、首相みずから発表した額ですよね。その30兆円が10兆円になるということは、単純に計算しても、10月30日の時点で信用保証で融資することを想定していた中小企業のうちの3分の2については、苦しい状況のまま年末を過ごしてくれといっているようなものです。すなわち、第二次補正を今国会で審議すると衆議院解散に追い込まれるかもしれないから、予定していた中小企業のうち、3分の2については見殺しにさせてくれ、と首相がいっていることになります。

選挙にはいきますが、政治のことはくわしい方の解説にまかせておこうと思い、私はこのブログではほとんど政治がらみのことは書いてきませんでした。とはいえ、今回はひどすぎます。私の会社は、中小企業の末端にあたる零細企業なので、ある意味ではこの話の当事者になります。また、私の暮らす台東区浅草近辺には中小零細企業が軒をつらねています。私たちには死活問題です。

まあ、このようにわかりやすい嘘をつく麻生首相がだめだからといって、民主党が政権をとったらどれだけ何をやってくれるのかもよくわからないわけですが……。それでも、現状がこれだけひどいと「CHANGE!」と言いたくもなりますわ。

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