双風亭日乗

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2008年11月11日 (火)

田母神氏のこと

今日、政府見解に反する歴史認識の論文を公表して更迭された田母神俊雄氏(前航空幕僚長)を、参院外交防衛委員会が参考人として呼びました。ニュースでもその模様が報じられていたので、田母神氏が「人が開き直ると、どういう態度をとるのか」という象徴的な態度で質疑に答えていたことは、すでにご存じの方も多いのでは。

さきほど放送された「おもいっきり!! いいテレビ」(日本テレビ系)で、爆弾を発射でき、戦車を操縦でき、武器を使える立場にある人が、あのような歴史認識を持っていて、それを公言してしまうということはとんでもない、というようなことを、みのもんたさんが強い口調でいってました。

個人の思想信条をどうこういうのはどうかと思います。しかし、ある程度の地位に立つ公務員が、みずからの職務と密接に関係のあるような事柄について、安易に発言してしまうことには、抵抗を持たざるをえません。だって、田母神氏と相対的に同じくらいのポジションにいる経済官僚が、日本の経済政策について独自の認識で民間企業の懸賞論文に応募し、それが公表されたらどうでしょう。同じく、法務官僚が死刑の賛否について同様の振る舞いをしたらどうでしょう。

みのさんは、田母神氏のような認識を公表していまうと、日本がアジア諸国から疑いの眼で見られることを示唆していました。それはそうですよ。航空幕僚長という職務は、英語では「General」すなわち「大将」であり、軍隊を持つ諸外国で「大将」といえば、とんでもない権力を持つ軍人であると思われているんですから。

たとえば、小林よしのり氏らからは、日本はアメリカべったりの親米愛国をやめて、反米愛国の路線に転換すべきだという問題提起がなされていますね。私も「愛国」の意味は慎重に吟味すべきだとは思いますが、アメリカの尻をなめ続けるような「親米」路線は終焉させるべきだとは思っています。そして、仮に「反米」の立場を選択した場合、いうまでもなく安全保障の問題が生じてきます。

アメリカの傘がなくなった日本が、自主防衛せざるをえなくなる。そうなると、自衛隊をどうするのか。憲法第9条をどうするのか。まるで宗教のように、9条を守っていれば平和が維持される、ということをいう人がいますが、もはやそんな空念仏を唱えている場合ではないでしょう。

また、アメリカ以外のどの国と連携して安全保障を確保するのか。現実に考えれば、安全保障のパートナーとして近隣のアジア諸国を選ぶことになりましょう。とはいえ、日本がアジア諸国に「パートナーとなりましょう」と声をかけたとしても、他国から見れば空軍「大将」の立場の人が、あのような発言をしてしまうような国は信用できない、と拒否される可能性だって大いにあります。

まあ、将来のことを考えるのはさておき、これだけ田母神氏の歴史認識が問題視されているときに、現職国会議員が平気で以下のような発言をしてしまうことについては、あきれてものがいえません。

自民国防関係会議、田母神氏の歴史観を擁護する意見も

自民党は11日午前、国防関係合同会議を開き、政府見解に反する論文を公表した田母神俊雄前航空幕僚長の更迭問題について議論した。出席した議員からは田母神氏の歴史観を擁護する意見も出た。

衛藤晟一参院議員は「(日本の侵略と植民地支配を認めて謝罪した)村山談話は閣議決定されて効力はあるが、職務と歴史観は関係ない」と指摘。西田昌司参院議員は「田母神氏の論文には問題がないと感じた。歴史観が処分の理由なのか、政治家が議論して現場の自衛官を戸惑わせないようにすべきだ」と語った。

幕僚長を国会同意人事とすることにも「日本の司令官が政治に左右されてしまう」(有村治子参院議員)など慎重論が相次いだ。一方、玉沢徳一郎元防衛庁長官は「文民統制を外して行動を正当化するのは大問題だ」と批判した。

(NIKKEI NET, 2008年11月11日, 13:26)

以上、いろいろ書いてみましたが、この問題についての最大のポイントは、田母神氏を航空幕僚長に任命した麻生総理を当選させているのも、衛藤氏のような国会議員を選んでいるのも、有権者の私たちである、ということに尽きると思います。けっしてこの問題に関して、麻生氏や田母神氏、そして衛藤氏を免罪するわけではありませんが、じつはそういう人たちが吊し上げられたり、叩かれたりしているということは、そういう人たちを選んだ人たちも吊し上げられたり、叩かれたりしていることと同義なんだということは、理解しておく必要があるかと思います。

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田母神航空幕僚長の論文問題については、tadurabe様のブログ「人生いろいろ」でコメントをしたのですが、こんなに話が大きくなるとは思っていませんでした。現在の状況には問題があると思いますので、コメントの繰り返しになりますが、書いておきたいと思います。 http://ameblo... 続きを読む

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