双風亭日乗

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2008年12月17日 (水)

裁判員の通知が届いたら、ぜひこれを読んでみては!(『重罰化は悪いことなのか』)

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来年5月からはじまる裁判員制度。30万人の候補者に対して通知が送られたようですね。裁判員制度は、「国民のみなさんが裁判に参加することによって、国民のみなさんの視点、感覚が、裁判の内容に反映されることになり」、「その結果、裁判が身近になり、国民のみなさんの司法に対する理解と信頼が深まることが期待されてい」る制度とのことです(引用は法務省ウェブページより)。

通知書の発送にともない、テレビでは「もしも通知が届いたら?」という質問を街中の人にぶつけていました。そもそも、テレビにインタビューなんていうのは恣意的なものです。100人に「猫は好きですか」と聞いて、実際には「好き」が70人で「嫌い」が30人だったとしても、両論併記みたいなかたちで双方の意見から3人づつの声を報道する。で、クリップみたいなものに賛否の印をつけて、これだけ多くの人が「賛成」しています、なんていうわけです(おいおい、その印はスタッフが話を聞かずにつけてるんじゃないの~、と思ったり)。

そんなわけで信頼度は低いものの、テレビのインタビューであっても「いろんな意見がある」ということは、なんとなくわかります。裁判員制度に関しては、これまでなかった制度だけに、不安をうったえる人が多かった印象があります。では、何が不安なのか。

第一は、実利的な不安です。忙しくて仕事を休めないといったものですね。たしかに、職場の理解がなければ、何日も仕事を抜けることはむずかしいでしょう。でも、この点は、職場が理解を示すなり、仕事量を調整するなりすれば、解決が可能な問題だと思います。

第二に、お金の不安。仕事内容がディープなのに報酬が少なくて、わりに合わない。これは、単に報酬をあげれば解決する話だと思います。裁判員には、世間が納得するだけの報酬を与えるようにすればいい。

第三は、人を裁くことへの不安です。とくに量刑の重い犯罪に関わることになった場合、裁いた側の自分を被疑者が恨むのではないか。また、自分には十分な法律の知識がないので、人を裁く自信がない。そういう不安ですね。

裁判員制度は、日本では初めておこなう試みですから、誰もが迷いながらコミットせざるをえないのは当然です。しかし、その迷いが、普段は空気のような感覚で気にもしていないことを、あらためて考えるきっかけにもなるんだと思います。

じつは、弊社刊『重罰化は悪いことなのか』の内容も、著者の藤井さんや対談相手の方々の迷いで構成されているといっても過言ではありません。もちろんそれぞれの論者は、自分なりのお考えをもっていて、それを対談相手にぶつけることにより、問題の輪郭をあきらかにしていくという作業をおこなっています。

とはいえ、犯罪や裁判、そして量刑などに関することで、「これが絶対に正しい」なんてことはないわけでして(神のみぞ知る、のかもしれませんが)。そういう意味で、同書で登場する誰もが、迷い、悩みながら議論を展開しています。

そんなわけで、裁判員の通知が届いたら、ぜひ『重罰化は悪いことなのか』をご一読いただきたいところです。同書では、「どうするべきだ」という答えは出ていませんが、犯罪や裁判、そして量刑などを考える際に、何が問題の焦点になっているのかということを知ることができます。

日々、生きるために働いている方々にとって、裁判員になるということは、重荷になってしまうことかもしれません。通知が届いても、迷っている方々もたくさんいることでしょう。そんなときには、まず同書を読んでいただき、立ち止まって考えたうえで、裁判員になるかどうかを決めていただくのもよいかと思います。

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