双風亭日乗

« 『重罰化は悪いことなのか』の書評 | トップページ | 鋭意、作業中! »

2008年12月21日 (日)

ハタハタと子猫

20070416094907
12月21日の「きっこのブログ」で、ハタハタを不法投棄したニュースをうけて、きっこさんがコメント(以下、ハタハタコメントという)しています。

ハタハタを不法投棄した人は、知人からハタハタを大量にもらい、自分で食べ、知り合いに配り、それでもあまったからやむなく捨てた。この人は法を犯しているが、できるかぎりのことをやったうえでハタハタを埋めたのだから、「そんなに目クジラ立てるようなことじゃないと思う。むしろ、よくここまでがんばったと、ホメてあげてもいいくらいだ」ときっこさんはおっしゃるんですよ。

そんなきっこさんがブログの「子猫殺し作家の屁理屈」というエントリーで、「子猫殺し」のエッセイを日経新聞夕刊に書いた坂東眞砂子さんを「こいつ」と呼び、「バカ女」とか「猟奇殺戮変質女」などと罵っています。ハタハタコメントと坂東さんへの罵倒を比較すると、きっこさんはちょっと矛盾しているように思えて仕方がありません。

まずは、くだんの記事を読んでみてください。

大量不法投棄に「ハタハタ迷惑」
 ハタハタ約百六十キロ(約五十箱分)を地中に埋めて捨てたとして、鯵ケ沢鯵ヶ沢,鰺ヶ沢,鰺ケ沢署は十八日、廃棄物処理法違反(不法投棄)の疑いで、会社員男性(45)と同僚男性(59)=ともに深浦町=を摘発した。二人は「知人から大量にもらい処分に困った」と容疑を認めている。  調べでは、二人は今月十五日午後二時ごろ、同町の山中に重機で穴を掘り、ハタハタ約百六十キロを捨てた疑い。会社員男性は知り合いからハタハタ約六百キロ(約二百箱分)をもらい、知人らに配っていた。捨てた百六十キロは「どうしても配りきれなかった分」だという。同僚男性は、処分方法を相談され、地中に埋めることを提案した。同署は二人を書類送検する方針。  県水産振興課によると、本県日本海側の今年のハタハタの水揚げは、昨年の約百四十五トンを上回る豊漁の見通し。水産関係者からは「信じられない」「もったいない」と不満の声も。三十年近い不漁続きから二〇〇二年に復活したハタハタだが、豊漁で一転、捨てられる始末。「魚にとっては、ハタハタ迷惑な話だろう」と、捜査関係者も思わず同情のコメント。 (東奥日報、2008年12月19日)

この記事をうけてきっこさんが書いたハタハタコメントと、坂東さんが書いた「子猫殺し」のエッセイは、ほとんど同じことをいっている。そんなふうに私には読めるんですよね。

人と人以外の生き物の関係を考えてみると、結局は人が特定の生き物をかわいがったり食べたり殺したりと、恣意的な振る舞いをしている。そのように恣意的に振る舞っているということを十分に自覚したうえで、生き物をかわいがったり食べたり殺したりすべきであり、それが「人が生き物に対して責任を持つ」ということにつながっていく。

そういう文脈で考えると、ハタハタコメントも「子猫殺し」のエッセイも、同じことをいっているような気がするんですよ。きっこさんのハタハタコメントは、ひじょうに真っ当なことをいっていると私は思います。書類送検された人は、法には触れているものの、生き物に対する責任をしっかりはたしている、といっているんですから。そのとおりです。

そうなると、ハタハタコメントを書くようなきっこさんが、なぜ「子猫殺し」に過剰反応を示したのか、ということが問題になろうかと思います。メディアスクラムならぬネットスクラムのようなかたちで、坂東さんが糾弾された理由も、そのへんにあるのではないかと私は考えています。

そうした問題意識を持ちつつ、いま私は坂東さんと『「子猫殺し」を語る』(仮題)という本をつくっています。じつは、数日後には坂東さんと佐藤優さん(起訴休職外務事務官)が対談で「子猫殺し」について語り合います。また、『ドリームボックス』(毎日新聞社)の著者・小林照幸さんや『ヒロシマ独立論』(青土社)の著者・東琢磨さんも、それぞれ「子猫殺し」について坂東さんと語り合っています。

『「子猫殺し」を語る』には、坂東さんが日経新聞に書いたエッセイの全文と、上記の三つの対談を掲載する予定です。この本に参加するすべての人が、それなりの覚悟をしています。
乞うご期待!

※写真は、その昔、弊社の専務であらしゃいましたトラさんです。

日乗 | コメント (2) | トラックバック (0) |

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です:
ハタハタと子猫:

コメント

このタイトルを見てトラ元専務のことを思い出しました。

投稿: 鮭缶 | 2008/12/21 18:15:34

鮭缶さん、こんにちは。機密情報によると、トラ元専務はだいぶお太りになった模様です(笑)。

投稿: lelele | 2008/12/21 21:55:19