双風亭日乗

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2009年1月19日 (月)

最後の講義(明大で臨床社会研究特論をとっている学生さんへ)

明治大学で臨床社会研究特論という講義を選んでくれている学生さんへ。

最後の講義で何を話そうか考え、講義の前日にメモをつくっておきました。しかし、講義の当日にそのメモを忘れたため、おぼろげな記憶をたどって、お話することしかできませんでした。

以下の文章は、最終講義のためにつくったメモを整理したものです。講義を聴いてくれたみなさんに伝えたかったことが記されています。参考になるかどうかはわかりませんが、袖すり合うも多生の縁だと思うので、私の思いをあらためてみなさんにお伝えできれば幸いです。

半年間、講義を聴いてくれてありがとうございました!

では、以下は学生さんに贈る言葉です。

何のために働くのか。

まず、私の職歴を見てみましょう。鉄道会社→日雇い→公務員(&大学二部)→出版社→カンボジアへ→旅行会社&TVコーディネート&大学院→帰国して出版社社長→一人出版社を設立。そして現在にいたります。

私の場合は、このようにいろんな仕事をしているうちに、自分が何をやりたいのかが、なんとなくわかってきました。そして、最終的には、それぞれの仕事で身につけたスキルを、総合的に利用できるような仕事を見つけることができたような気がしています。

ある程度の努力はしたけれど、運がよかったのだともいえます。収入は厳しいけれど、「自分に適している」「能力を発揮できる」「やりがいがある」という意味で、いまの仕事をしていて、それなりに充実した日々を送っています。

さて、何のために働くのか。

収入を得るため? 生き甲斐を見つけるため? 誰かを養うため? 自分の好きなことをつづけるため? 趣味に徹底するため? 社会人として自立するため?

働く理由は、何でもいい。 けれど、たいがいの仕事は、困難や我慢をともなうものです。我慢をして、お金を稼ぎ、自分の好きなことに使うのもよし。我慢をせず、自分がどんな仕事に適しているのか、模索しつづけるのもよし。

いずれにしても、何かをしなければならない、なんて思う必要はないと思います。 働きつづけなければならない、とか。 我慢しなければならない、とか。

人も、会社も、社会も、あいまいなもの。 ついつい「絶対に辞めない……」とか「絶対につづけなければ……」なんて思ってしまいます。しかし、「絶対……」なんてことはないんですよ。昨年末に講義でお見せしたDVDで、椎名林檎も絶対を嫌がっていたではありませんか(笑)。

だからこそ、自分の頭で考え、行動することが重要なんだと思います。

一方、「絶対」がないからといって、何をやってもいいわけではありません。 愚行権という言葉があります。ノンフィクション作家の佐藤優さんがしばしば使う言葉です。 それは、人は他人に危害をくわえない範囲で、愚かなことをやってもいい、という権利のこと。

何か幸福なのかは、人それぞれです。 ある人にとっての幸福は、ある人にとっての不幸かもしれない。 それでも、自分の幸福を担保するために、その不幸を受け入れる。 つまり、愚行権とは、憲法で保障されている幸福追求権のこと。 この愚行権さえ念頭においておけば、どんなことにもトライすることができるはずです。

自分が何をやりたいのか。 何に適しているのか。 どうすれば能力が活かされるのか。

そんなことは、試行錯誤をしてみなければわかりません。 だから、仕事にしても、趣味にしても、遊びにしても、自分が関心をもったものは、積極的に試してみよう。失敗しても、やり直せばいいんです。

大学を出て、はじめて働いた職場が一生の職場になるなんてことは、いっさい考える必要がありません。もし、その職場が自分に合っているのなら、ずっといればいい。合っていないのなら、転職すればいい。就職難だといわれるが、専門性の高い仕事であれば、即戦力の人材には需要があるのではありませんか。

ようするに、まず「自分が何をしたいのか」を考え、その「したい」ことについての専門性を磨きつづけることがたいせつです。そういうことは、どこかに就職したあとも、考えつづけたほうがいいでしょう。さすがに、何の専門性もない場合、働ける場所は限定されていくし、転職もむずかしくなるでしょう。

だからこそ、たとえそれが仕事でも趣味でも何でも、自分が狙いをさだめたものについては、とことん取り組んでみるのがいい。狙いをさだめたけれど、自分に合っていなければ、それがわかった時点で気分を切り換え、新しい狙いをさだめ、取り組んでいくのがいい。

世の中には、いろいろな考え方や言説、そして思想が出まわっています。それらを参考にしたり、取り入れたりするのもけっこうです。しかしながら、もっともたいせつなことは、それらを参照しつつも、最終的には自分の頭で考え、行動することです。私は、なによりも、講義のなかでそのことを知らせることができれば、と思ってました。

半年という短い期間でしたが、学生のみなさんにお会いできてよかったと思っています。また、いつかどこかでお会いできたらいいですね。

寒い日がつづいているので、くれぐれもお身体をたいせつにしてください。
それでは、みなさん、さようなら。
最後の授業で、みなさんに私が伝えたかったことは、以上です。

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