2009年2月23日 (月)
=「子猫殺し」再考 第14回= 2年前の日経新聞に対する不買や抗議の運動について
ネットでいろいろ検索していると、ときおり「ここまでやるか?」と思ってしまうようなことが書かれているサイトがあります。2年前の「子猫殺し」騒動のときにも、あきらかに常軌を逸しているサイトがありました。
たとえば、「坂東眞砂子 不買」というキーワードでググってみると、以下のようなサイトがあらわれます。
そえじまノブさん
直木賞受賞作家 「坂東眞砂子」氏の本不買運動同盟
http://bandoumasako.moryou.com/
作者不明
不買等抗議のお願い
http://28.xmbs.jp/ch.php?ID=forlady&c_num=17753
きっこさん
きっこの日記 2006年8月23日
http://www3.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=338790&log=20060823
この件に関して、『「子猫殺し」を語る』のなかで佐藤優さんが、以下のようにコメントしています。
■佐藤■ もう一度繰りかえしますが、坂東さんが子猫を処分していたという事実は、坂東さんの愚行権の範囲内でのことです。さらに、坂東さんが子猫を処分していたことに対して、それには反対だという意見を表明する人がいたら、それはその人の愚行権の範囲内でのことです。だから、批判があれば、礼儀正しいかたちで異論を述べればよい。それに対して坂東さんが反応する必要があると考えれば、そうすればよい。それだけのことです。
しかし、愚行権の範囲内で振る舞う坂東さんに対して、「お前、ぶっ殺してやる」というのは脅迫ですから、愚行権の範囲外、つまり坂東さんに危害をくわえていることになる。また、掲載した新聞に対して不買運動を展開することは、商業新聞社の営利活動を妨害し、坂東さんの仕事を妨害することになりますから、やはり愚行権の範囲外の振る舞いになると思います。
ようするに、「私は坂東さんの言説や行為には賛成できない」という批判まででとどめることが、自由主義社会を維持するために必要なのだと思います。
どこまでが愚行権の範囲内で、どこからが愚行権の範囲外なのか。現在の日本には、その線引きができなくなっている人がたくさんいるような気がします。
(『「子猫殺し」を語る』 p250-251)
「愚行権」に関しては、こちらを参照してください。
さて、これを読んだうえで、そして『「子猫殺し」を語る』を読んだうえで、上記で紹介した三つのサイトの主宰者たちは、いま、いったいどのようなリアクションをとるのでしょうか。くわえて、それらを引用したりコピーした数知れないサイトやブログの主宰者は、どう反応するのでしょうか。
「2年前のことだから、もう忘れた……」とか「ここに書かれていることは、いまでも正当だ」というのでしょうか。それとも、「あのときはそう思ったけど、いまはやりすぎだと思っている……」というのでしょうか。
とりわけ、きっこさんの場合は、ごていねいに日経の担当者名まで記しており、もっとも悪質だと思いますが、いかがなものでしょうか。ちょっと、やりすぎなのではありませんか?
まあ、いまだに当該ページを削除したり修正したりしていないということ自体、「自分はまちがっていない」と考えていらっしゃることの証しなのかもしれませんが。
いずれにしても、坂東さんは『「子猫殺し」を語る』で「落とし前」をつけるわけですから、ここまで派手にやっていただいた方々にも、しっかりと「落とし前」をつけていただきたいものです。
とりあえず、きっこさんには、白夜書房経由で同書をお送りすることにしましょう。
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