双風亭日乗

« =「子猫殺し」再考 第14回= 2年前の日経新聞に対する不買や抗議の運動について | トップページ | 本の紹介(寺澤有著『報道されない警察とマスコミの腐敗』) »

2009年2月24日 (火)

伊武のすべて

20090224022224
浅草のあるバーにて。
30代のマスターに聞いてみました。

「伊武雅刀って、知ってる?」
「知ってますよ、あのシブい俳優ですよね!?」
「そうそう。でさぁ、伊武さんの歌、聞いたことある?」
「えぇぇ、伊武さんは歌手もやってるんですか……」
「1980年代っすけどね。一世を風靡した曲もあるんですよ」
「たぶん、聞いたことないですね~」

というわけで、伊武さんが昨年9月に『伊武のすべて』という2枚組のCDをリリースしたことを知り、さっそく買いました。

すばらしい。

なにがすばらしいのか。それは、「イブのマンボでワン・ツー・スリー」という曲が収録されているからなんです。

1984年に発売されたこの曲の歌詞は、ようするにキャバレーにいったおっさんとキャバ嬢の会話で、じつにくだらない。全編が「(男)手品しようか?/(女)シテシテ/(男)ワン・ツー・スリー パッ!/(女)スゴイスゴイ」というノリなんですよ。

こんな歌をレコードとして発売してしまう人たちの姿勢が、私にはじつに愉快でした。こんな歌、などと書いてますが、とにかく一度聞いたら忘れられないメロディーと歌詞です。このアルバムが発売されるまで、なかなか手に入らずに困っていました。

伊武さんは、1983年に「子供達を責めないで」(『伊武のすべて』に収録)というスマッシュ・ヒットを出しています。サミー・デイヴィスJr.の同名曲に、秋元康さんが意訳した歌詞をのっけた歌です。

さらに、1981年にはスネークマンショーというラジオ番組の企画から生まれた「咲坂と桃内のごきげんいかが1・2・3」(『伊武のすべて』に収録)を小林克也さんとともに発売。これは細野晴臣さんの作曲。このスネークマンショーはYMOのお気に入りで、両者は『増殖』というアルバムでコラボレーションしていたり。

伊武さんの話をしはじめると、どうしても80年代の思い出話になってしまうわけですが、それにしても当時からいままで芸能界で生き続けている伊武さんはすごい、と思うんですよね。

せっかくだから、テレビで「イブのマンボでワン・ツー・スリー」でも歌ってもらいたいけれど、そんなことをしたら視聴者からBPOに山ほどクレームがいくんでしょう。

80年代にくらべると、ユーモアに対する寛容さが下がっていると思います、あきらかに。「視聴者がBPOにクレーム→BPOがテレビ局にクレーム→テレビ局が番組内容の自粛」という悪循環にどっぷりハマっているのも、その原因でしょうね。

誰か『ちょっとしたことでムキになる社会』なんて小洒落たタイトルの本を書いてくれませんか。それがいまの日本を象徴するフレーズのような気もしますから。

あっ、そんな本を書いたあかつきには、著者はネットで中傷され、出版社に対しては不買運動が起こるかもしれないし、担当編集者の名前がネットに晒されて……。

こわいので、双風舎からは出せませんね(笑)

あと、伊武さんのウェブページ、めっちゃおもしろいんで、一回いってみてください。

ではでは。

日乗 | コメント (0) | トラックバック (0) |

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です:
伊武のすべて:

コメント