双風亭日乗

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2009年2月17日 (火)

「子猫殺し」騒動を忘れないために

先日、芸人のスマイリー菊地さんが、ブログの書き込みで中傷されたとして、警視庁が男女18人を名誉棄損容疑で刑事責任の追及をはじめる、と報じられました。

スマイリーさんの場合は、長期にわたって中傷されたとのことですが、短期集中とはいえ、坂東さんへの中傷も猛烈であったことを、けっして忘れてはいけないと思います。

「子猫殺し」に関する連載をはじめた当初は、坂東さんに対して2年前に噴きあがっていた人たちが、何らかの暴力的な言葉のアクションを起こす可能性を想定していました。

しかし、まるで手のひらを返すように、そういう人たちはひっそりと黙りこんでいます。まるで、自分らの暴言を「なかったこと」にしてしまうがごとく……。

そもそも、スマイリーさんの一件であきらかになったように、自分たちが言葉の暴力で人を傷つけていたことに対し、国家の暴力機関である警察が介入しなければ気づかないという時点で、ネットの病理的な部分を感じます。

ちゃんちゃらおかしいというか、情けないというか、なんというか……。

今回の「子猫殺し」に対する、この不気味な静けさは、やはりスマイリーさんの一件が影響しているのでしょうか。拙ブログで何度も書いているように、相手の尊厳を重視したうえでなら、いくらでも反論していいし、批判もしていいのに。

たとえば、「日常的に牛や豚を殺して食べているのに、子猫を殺すと不快な気分になるのなぜか」とか、そういう身近な論点から議論を出発し、生き物の生と死について考えたりすることには、大きな意味があると思います。

「子猫殺し」エッセイを読んで「不快だ」と思った方のなかに、「不快だ」で思考を止めて坂東さんを中傷せず、「なぜ不快なのか」を考えたうえで、坂東さんへの異論反論を記す方がたくさんいたら、あんな騒ぎにはならなかったんでしょうね。

いずれにしても、「子猫殺し」騒動を忘れたり、なかったことにしないために、弊社は『「子猫殺し」を語る』を刊行します。

ネット上の文字は、消そうと思えば消せるし、ディスプレーで文字を読んでもなかなか頭に入りません。とはいえ、書籍にしておけば、個人の手元に残るし、国会図書館をはじめとする全国の図書館にも残ります。

ちなみに、坂東さんはスマイリーさんのように、国家暴力の力を借りるようなことには、おそらく興味がないと思います(これは、国家暴力の力を借りたスマイリーさんがどうこうという意味ではありません)。あくまでも、あの騒動を「みずからの問題提起とその反応」として、冷静に見つめていることでしょう。

ただし、「その反応」(とりわけ誹謗中傷の仕方)が病理的であった点については、注目に値すると考え、坂東さんは「子猫殺し」騒動という現象を書籍というかたちで記録する、言い換えれば「おとしまえ」をつけることにした。「その反応」がおかしいと考える東さんと小林さん、そして佐藤さんが、坂東さんに協力した。そういう話です。

それでは、次のエントリーで東琢磨さんのコメントをお楽しみください!

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