2010年3月 8日 (月)
高校無償化について
今回の通常国会で通過すると見られている高校無償化法案。正確には、「国公立の高等学校における教育の実質的無償化の推進及び私立の高等学校等における教育に係る負担の軽減のための高等学校等就学支援金の支給等に関する法律案」というそうです。呪文のような名称ですなぁ。
それはさておき、いうまでもなく、「授業料」を無償化するというのが、この法案の目的ですね。この法案が国会を通過すること自体は、よろこばしいことだと思います。くだらないことに税金を使うよりも、納得がいきますし。
これで、ようやく日本の教育制度も国際スタンダードに一歩近づいたのかもしれません。でも、学校に通えば、授業料以外にもけっこうお金がかかります。「産経新聞」によると、「修学旅行や学用品、通学交通費などを含めた学校教育費は公立34万4千円、私立78万5千円。塾通いなどを合わせるとそれぞれ52万1千円、104万5千円」(2009年12月15日)だと言います。
つまり、公立は52万1千円、私立は104万5千円のそれぞれから授業料が引かれ、残りの金額は教育費として、それぞれの家庭が自己負担するということになりますね。たしかに、授業料の分だけであれ、出費が減ることは、一般家庭の家計負担を減らすことになるでしょう。
しかし、母子家庭などの生活が苦しい家庭については、多くの高校がすでに授業料免除を制度化しているようです。つまり、今回の無償化は、生活が苦しい家庭にとっては、なんの恩恵もないようなのです。
私は、この事実を知るまでは、高校無償化は生活が苦しい家庭こそが恩恵をうける制度だ、と思っていました。ところが、詳細を調べてみると、けっしてそんなことはありませんでした。多くの場合、家庭が経済的に苦しくなることについて、子どもには責任はありません。だったら、そういう家庭に対しては、授業料の分の現金を支給するなど、柔軟な対応をすることが望まれます。
高望みかもしれませんが、どうせなら大学の授業料も無償化すればいいのになあ、と思ったりもします。私は、高校卒業まで養護施設で育ちましたが、引き取ってくれる親族がいないのと、施設には高校を出るまでの期間しかいられない(以降は、役所から生活費や教育費が出なくなる)ことから、大学進学をあきらめて就職しました。当時は、残念で仕方ありませんでした。
施設にいる子どもの多くは、親になんらかの問題があるから入所している場合が多く、非行など自身に問題があって入所している子どもは少数だと思います。ならば、そういう子どもにこそ、優先的に教育の機会が与えられるような制度があったらいいと思います。
こんなことをいうと、「そもそも親がどうにかすべきだ」という声が聞こえてきそうです。それはそうなのですが、いま施設に入っている子どもに、そんなことをいっても意味がありません。すでに授業料が免除されている母子家庭などに対する授業料分の現金支給もふくめて、柔軟かつ早急に対処することがなにより重要でしょう。
日乗 | コメント (0)
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