2010年4月 6日 (火)
「不本意」の使い方
以下では、政治のかけひきがどうこうとか、そういうことは抜きにして、昨日のニュースの一コマを、日本語の問題として検討してみようと思います。
民主党の小沢幹事長が参院選で、民主党の静岡選挙区の候補者として二人を擁立することを決めた。それに対して、民主党静岡県総支部連合会(静岡県連)は、反対の意向を示した。その意向をうけて、連合静岡の吉岡秀規会長が、小沢さんが辞めれば二人を擁立していい、といった。
3月31日の会見で、吉岡さんが語気を荒げて小沢おろしを語っていたことは、「よくいうなぁ」と思いながらテレビで見ていたので、よく覚えています。
で、この吉岡さんが4月5日になって、「他の組織への越権行為であり不適切な発言だ。不本意極まりなく、小沢氏、民主党におわび申し上げたい」と陳謝しました。この「不本意」という言葉には、違和感をいだかざるをえませんでした。
テレビっていうのは、こわいものです。残った記録には、発言のみならず、表情などの振る舞い全般が映りこんでしまいます。3月31日に吉岡さんがおこなった会見での発言は、どう考えても「本意」だったといえるでしょう。
その「本意」の発言を、素直に謝罪したり訂正するのならいいのですが、わざわざ「不本意」だったと言い直すのは、おかしなことですよ。4月5日の会見で、3月31日の発言当時のことを思い浮かべていうのなら、どう転んでも小沢おろしの発言は「本意」なのであり、「不本意」であるはずがない。だって、不本意とは「自分の本当の望みとは違っていること」(『大辞泉』)なのですから。
そうなると、「不本意」という言葉を使ってもいいケースは、ふたつだけです。ひとつは、「不適切」のいいまつがい。もうひとつは、吉岡さんが無理矢理、静岡県連にそう言わされたということ。前者ならまだしも、後者は考えにくいですね。テレビで見た会見の様子からいえば。
連合静岡会長というのが、どれだけの地位の人なんだか知りませんが、民主党静岡県連の意向を代弁できるような、それなりの地位の人であることはわかります。そういう人が、全国ネットでテレビ放送される記者会見の発言で、日本語を不適切なかたちで使うんですから、情けないかぎりです。
なおかつ、その「不本意」という言葉を、そのまま記事の見出しに使っている新聞があります。デスクとか、機能しているんでしょうか?
まあ、日本語を不適切なかたちで使ってしてしまうことは、誰にでもあることです。問題は、それをしっかり訂正したり言い直すかどうか、だと思います。それって、中学生でもわかる、ごく当たり前のことです。
こういうの、気になるんですよね~。
日乗 | コメント (0)
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