双風亭日乗

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2010年6月 7日 (月)

自分で火をつけ、自分で火を消すマスコミの政治報道

昨晩、テレビ朝日の「ANNスーパーJチャンネル」を観ていたら、政治部の記者みたいな人が鬼の首をとったような勢いで、「脱小沢」だの「(小沢さんが菅さんらの)抵抗勢力」だの「(小沢さんが)完敗」だといっていました。

その表情を見て、発言を聞いて、気持ちが悪くなりました。たしかに、民主党の現状を分析すれば、そのように見えるのかもしれません。でも、そんなムキになって、あおり立てて、どんな意味があるのでしょうか。

私は、別に小沢さんが好きでも、菅さんが好きでもありません。おふたかたには、普通に関心を持っている程度です。そんな立場からいわせると、くだんの記者みたいな人の振る舞いは、世論にマッチで火をつける、まるで放火みたいなものに思えました。

酒場にもときどきいますが、騒ぐ必要のないことなのに、過剰に騒ぎ立てる人。自分が知っていることを、その人よりも知っている人がいるかもしれないのに、さも自信ありげに主張する人。その主張に反論すると、ムキになって論破しようとする人……。

火をつけられた話は目立つので、いったんは注目をあびるでしょう。けれど、その話がほんとうに火をつけるべきものなのかどうかは、慎重に見極める必要があります。とくに、ニュースを扱うマスコミの人たちは、「数字」のためには平気で火をつけることがありますからね(笑)

そうやってつけられた火は、そのうちポンプで消されるんですよ。前述の記者みたいな人が、しばらくすると今度は「小沢、勝利」とか「復権」などととあおり立てて。

これが、拙ブログで何度もいっている「マッチポンプ」というやつです。ようは、事がすべてが終わってみると、騒ぐ必要もあおる必要もなかった、という結果になるわけですね。

「火事と喧嘩は江戸の華」なんていいます。視聴者が民主党内のケンカ(?)に関心を持つのは、ある程度は仕方がないことでしょう。しかし、過剰にケンカをあおったり報道したりする必要は、まったくないと私は思います。そんな政局のぐだぐだを取材・報道する時間があるのなら、持ち前の情報網を活かして、今後の政策課題を検討したり、視聴者が望むような政治の姿を提案すればいいんじゃないんですか。

まあ、その前に、政治部の記者さんや政治評論家のみなさんと「官房機密費」の関係について、クリアにしておいたほうがいいのではないか、と老婆心ながら思います。もらっちゃったのは、もう仕方がない。「私がもらいました」といえばいい。もらった人ともらっていない人が混じっているから、新聞・テレビの政治報道に信憑性が欠けるわけです。

赤木智弘さんが「セージトカネ」(鳩山さんと小沢さんのおカネの問題)と「政治と金」(マスコミにばらまかれた官房機密費)の違いについてブログに書いていました。冒頭で紹介した鬼の首をとったような勢いで民主党内のケンカを報道していた記者さんの上司や同僚には、官房機密費をもらった人はいないのでしょうか。

そのへんには「ほおかむり」をして、民主党幹部の「セージトカネ」について偉そうに報道しても、やはり「お前はどうよ」の感がぬぐえません。いやいや、すでにニュースや報道はエンターテインメント化してしまったから、マッチポンプをやるくらいがよくて、自分に都合の悪いことなど報道する必要はない、なんてマスコミの人たちは思っているんでしょうか。

「もしかしたら、彼らはそう思っているのかもしれないなあ」と私ごときが想像してしまうこと自体、ちょっとマズいんじゃないんですかねぇ。自浄作用のないマスコミなど、誰も信用しなくなってしまうことでしょう。

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コメント

二項対立のフレーミングアップというのは記事を書く上で一つのやり方として定着してますからね。そこは、受け取る側が了解していることが大事かと思います。メディア・リテラシーということになりますかね。

もっとも、抵抗勢力という言葉自体、小泉改革の後はだいぶ陳腐になりました。政権党の政策運営が妥当でなければ抵抗するのは当然ですし、一時の熱狂で物事を判断してはいけないということは、あの政権の時代に、特に若い日本人は学んだのではないかと思います。

今は色々な問題がある中で、一つの軸にだけ政策を見る視点を収斂して、支持する政治家を決めることは適当ではない情勢です。経済政策、外交問題、安全保障、雇用対策、福祉給付、人口問題と移民・・・投票をするほうからしても、考えなければならないことが多すぎます。

できたら、報道と出版には、もうちょっと複眼的に、各政党、各政治家の政策の違い、過去の実績を客観的な論拠から解説するコンテンツを出して欲しいところです。

というか、そういう仕事ができずにただ煽るだけの話なら、yahooニュースの見出しだけ見れば十分ですし、政治メディアとしての需要がこの先はないでしょうね。

姜尚中、宮台真司両氏が専門研究とジャーナリズムの間をつなぐ「ミドル・マン」の役割を果たしている、という一文をどこかで読んだ記憶がありました。アカデミズムの世界からも、専門記者の世界からも、そういう仕事をしてくれる人がもっと出てくるといいんですが。

あ、細かいことで恐縮なんですが・・・。
「管」さんではなくて「菅」さんかと・・・。

投稿: Lee | 2010/06/07 10:37:25

「菅」さんですね。ご指摘、ありがとうございました!

投稿: lelele | 2010/06/07 11:50:11

 実際のところ、テレビや新聞の報道をまともに信頼している人の数は少なくなっているのではないでしょうか?
 視聴率や発行部数は軒並み落ちてますし、いずれマスコミの改革は必然となります。とりあえず高額の年収を下げるところから始めれば、だいぶ変わってくると思う……。

投稿: akebo | 2010/06/07 18:12:26