2010年7月14日 (水)
美しいメロディ
私は、二十代の半ばに四年だけ、夜間大学に通うために横浜市の職員をしていました。浚渫(しゅんせつ)といって、港の岸壁にたまった土砂をバケット・クレーン(クレーンの先に、開閉するカゴがついている重機)ですくい上げ、その土砂をはしけに移し、大黒ふ頭の埋め立て地へ捨てる、というのが仕事でした。
毎日、船に乗って現場にいきます。仕事中も船に乗っています。そして、船の仕事は、海に強い風が吹いたらお休み。だから、「今日は、シケだ~」ということで、待機になることが多かったんです。待機中は、寝たり、酒を飲んだり、将棋をさしたり、テレビを観たり……。いま考えてみると、のんきな職場でした(笑)
で、同僚に三つ年上の男性がいて、その人がやたらと洋楽、とくにアメリカのロックにくわしい。雨で仕事が待機になると、酔っぱらうおやじたちを尻目に、私はその人と音楽談義に花をさかせました。休みの日には、私の知人もふくめて三人でスタジオに入り、「PINK CLOUD」(チャーがいたバンドですね)の曲をコピーしたり。
その人は、私にとっては洋楽の先生みたいな人でした。しばしば、その人自身が好きな曲をカセットテープに録音したものを、もらって聴きました。70年代から80年代の、アメリカのロックの歴史が、そのテープには詰まっていました。こうして、その人のおかげで、私は知らない曲を数百曲ほど聞き込み、アメリカのロックとけっこうディープに触れ合うことができました。
その数百曲のなかで、当時、もっとも私が気に入っていた曲が、ニール・ヤングの「Lotta love」という曲でした。超シンプルなコード進行であり、(いい意味で)歌はへたくそ。にもかかわらず、心に残る美しいメロディ。すごい曲だな、と思いました。1978年に発売された、ヤングの「Comes a Time」というアルバムに収録されています。
さらに、「まさか、この曲の動画はねえだろうなぁ」と思いつつ、YouTubeで検索してみると……。なんと、ありました。1979年のライブ映像です。単純な曲でも、歌がへたでも、いい曲はずっと残っていくという見本のような曲なので、お時間ある方はぜひご覧になってみてください。
Neil Young - Lotta Love
日乗 | コメント (0)
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