
ようやく、配本の日がやってきました。
茂木健一郎・斎藤環著『脳と心』は、本日、全国の書店に配本されます。定価は、税込2000円。入魂の一冊。ご一読いただければ幸いです。
斎藤さんの第1信で往復書簡の企画がはじまってから、早くも3年余……。双風舎が新刊を出すのは、1年ぶり。いろんな意味で、感慨深いものがあります。
この本は、斎藤さんの読者はもちろんですが、なによりも茂木さんの読者に読んでいただければと思っています。その理由は、以下の茂木さんの発言にあります。
「(谷川注…脳科学ブームに)巻きこまれた私からいわせれば、表現活動というものはむずかしいということです。とくに、いま実際になにが起こっているのかを、正確に読者や視聴者にわかってもらうことは、ほんとうにむずかしい。
テレビでの発言は、生放送でないかぎり、編集されます。どれだけ私が、くわしく脳に関する話をしても、制作側が必要だと考える部分しか、実際には放送されません。
男女の脳差を考えてみても、それは単なる統計的な有意さの違いです。女性のほうが男性よりも脳梁が太いといわれますが、ある女性よりも脳梁が太い男性だっているでしょうし。でも、たとえ収録のときに私がそう語ったとしても、制作側が『男女の脳差に関する話が欲しい』と思えば、差がある部分の発言だけ使われたりします。
こうした経験をとおして、ようやく最近になって、ものの言い方がわかってきたような気がします。『最近』というのは、斎藤さんとの往復書簡が本格的に始動した2010年初頭あたりの時期でしょうか。ほんとうのこと、すなわち脳科学で実際になにが起こっているのかということを、正確に伝えなければならないと考えるようになりました」(『脳と心』の茂木さんインタビューより)
マスコミでの活動、とりわけテレビでの活動について、茂木さんがこのような発言をなさるのは、おそらく初めてのことだと思います。ご著書について、テレビでの発言よりも慎重なものになっていることは、いうまでもありません。
茂木さんは、同書のなかで、この問題について、さらに踏み込んで語っています。ようは、「自分の発言が、読者や視聴者に、ちゃんと伝わっていなかった」と、茂木さん自身が振り返っているのです。こうした一連の発言を、ぜひ茂木さんの読者にお読みいただきたい。私は強く、そう考えています。
おっと、このエントリーを書いている今、見本が私の手元に届きました!
装丁も本文も、満足のいく仕上がりです。
では、ひとりでも多くの読者に『脳と心』が届くことを祈りつつ、失礼いたします。
日乗
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