双風亭日乗

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2010年10月30日 (土)

社会学者の山田昌弘さんが、東京新聞(2010年10月21日付)の夕刊コラムで、レストランなどでの「レディースセット」は男性差別だと発言したとか。「『女性限定メニューは男性差別』と大学教授が猛抗議」という「探偵ファイル」の記事で知りました。

どうなのでしょう。私見では、「レディースセット」があっても、なんら問題ないと思います。理由の第一は、メニューの設定は店の自由だということ。第二に、「レディースセット」の存在を目にしても、むかついたり差別的だと感じる男性などほとんどいないと思われるから。

調べたわけではありませんが、一般的にいって、「男性よりも女性のほうが食べる量はすくないはずだ」と多くの人が思っているのでは。身体の大小もあるし、カロリー摂取には女性のほうが気遣っていると思います。まあ、それは思いこみだ、差別だ、といわれたら、これ以上書くことはありませんが。

そのような気分を多くの人が共有しているから、「レディースセット」があってもとやかくいう人が、これまでいなかったんだと私は思います。「差別」のひとつの要素が、表現される側の当事者(この場合、男性)が不快であるかどうかという点だと考えた場合、「レディースセット」を不快に思う男性など、あまりいないことが予想されます。

探偵ファイルでは、「このような問題を、フェミニストの人々がどう捉えているのか、興味深いところである」とまとめています。とはいえ、これまでの日本が男性限定・男性優位を前提にした社会だったことや、現在も根深くその前提が残っていることを考えれば、「レディースセット」ごときに文句をつけるような男性は、フェミニストにしてみれば、おそらく鼻で笑ってサヨウナラですよ(笑)

それにしても、山田さん、ちょっと過敏すぎるような気がします。それとも、コラムのネタに窮して、ヒマネタとして書いたのでしょうか。新聞にしろ雑誌にしろ、連載を持つっていうのは、たいへんなことなんでしょうね。

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2010年10月29日 (金)

まずは、共同通信が配信したこの記事を読んでください。

親子グマ射殺に抗議相次ぐ 困惑する福島県西会津町

 全国でクマの出没が相次ぐ中、親子グマ2頭を射殺した福島県西会津町に「かわいそう」と抗議する電話やメールが相次いでいることが28日、町への取材で分かった。町はクマよけ装置設置など対策を進めているが、入り込むのを防ぎきれない。住民の安全確保と野生動物保護の間で山あいの町は困惑するばかりだ。

 西会津町では18日夕、住宅の庭にある柿の木で親子グマ3頭が見つかった。人の出入りが少ない夜間という事情も考慮し、町は山へ逃がすことを最優先。柿を食べ、19日未明に木から下りた3頭を誘導して山林に追い返した。町には「良かった」と対応を評価する声が寄せられた。

 23日朝には住宅近くの空き地で、18日とは別とみられる親子グマが柿の木にいるのを住民が発見。町は住民の安全を優先し、地元猟友会会員が2頭を射殺した。町には23日から抗議が相次いでいる。件数は明らかにしていない。(共同通信 2010/10/28 19:19)

人が何人かいた場合、誰の命がたいせつかどうかは、判断しかねるでしょう。しかし、人以外の生き物は、そうではありません。

記事で話題になっているクマの場合、「人に害を与えているかどうか」が、殺すかどうかを判断するもっとも重要な点でしょう。さらに、「個体数が少なく、保護しないと絶滅してしまう可能性があるのかないのか」を判断の材料に加えるのもありだと思います。

報道されているように、クマが街に下りて、人に危害をくわえている事件が多発しています。こうした場合、クマは「有害鳥獣」と見なされ、猟友会による「駆除事業」の対象となるわけです。

ちなみに有害鳥獣とは、農林水産物を食べてしまったり、いたずらしたり、人を襲ったりするなど、ようは人に対して害を為す動物のことです。代表的なものは、イノシシやニホンザル、シカ、クマ、キツネ、そしてカラスなど。これらの動物が害を為さなければなにもしませんが、害を為せば駆除されるのはいたしかたないことなのです。

残念ながら、人は、人以外の生き物の生死を、好き勝手にコントロールしてきましたし、これからもしていくでしょう。

テレビで見かけた親子クマの射殺がかわいそうだからといって、クマが出る地域に暮らしてもいないのに感情的になる。さらに、有害鳥獣の駆除をやめろという。これは、地元の人々の安全を無視した、単なる上から目線のエゴだと思います。

もう引き合いに出すのも気が引けますが、クマの射殺で騒いでいる人たちは、牛や豚の屠殺について、いったいどう考えているのでしょうか。クマはかわいそうで、牛や豚はかわいそうじゃない。だから、牛や豚が殺されても騒がないのでしょうか。

そんなのおかしいですよね。おかしいけれど、パッと見がかわいそうに見えると、過剰に反応してしまうのは、なぜなのでしょうか。

どんな生き物だって、おそらく殺された姿を見たら、かわいそうに思えます。しかし、そこで立ち止まり、「なぜこの生き物は殺されたのだろう」と考えてみれば、噴きあがるようなことはないのでは。思考を停止せず、考えつづければ、クマがなぜ殺されざるをえなかったのか、わかってくると思いますので。

「子猫殺し」も「捕鯨」も「イルカ漁」も、噴きあがっている人の多くは、「殺されてかわいそう」で思考停止しているような気がします。なによりも恐ろしいのは、「子猫殺し」騒動のときのように、「殺された生き物がかわいそうだから、その生き物を殺した人間を殺してしまえ」みたいな気運になってしまうことです。

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2010年10月28日 (木)

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新刊のご案内です。といっても、弊社の新刊ではありません。私が「編集」をお手伝いした本が、河出書房新社から発売となります。

書  名: ボクたちに殺されるいのち

著者名: 小林照幸

出版社: 河出書房新社

シリーズ名: 14歳の世渡り術

定  価: 1200円(税別)

発売日: 2010年11月11日


小林さんには、犬猫の殺処分について取材して書かれた『ドリームボックス』(毎日新聞社)という著書があります。また、弊社刊『「子猫殺し」を語る』では、坂東眞砂子さんの対談相手のひとりとして、登場していただきました。

ペットとは何か。ペットと人は、どのように付きあってきたのか。そして、ペットと人とが、どのような関係を取りもちながら共存していくのが望ましいのか。『ぼくたちに殺されるいのち』では、犬猫の殺処分に関する話をはじめ、屠畜場、熱帯魚、闘牛用の牛、生物多様性など、ペットをめぐるさまざまな状況を紹介しながら、ほんとうの「動物愛護」とは何なのかを考えます。

「14歳の世渡り術」シリーズは、多くの学校図書館に配本されるとのこと。できるだけ多くの小中学生、とくにペットを飼っている方々に読んでいただきたい一冊です。また、安価で読みやすい内容となっていますので、いまペットと暮らしているおとなにも、ぜひご一読いただければ幸いです。

ちなみに、ある出版社の本を外部の編集者が「編集」のみ担当するパターンには、いろいろあると思います。私の場合、企画立案および著者との交渉、原稿のやりとり、構成の調整(本文、もくじ、見出し)、校正などを担当し、河出さんから報酬をいただくような感じです。

なぜ双風舎で出さないのか、という疑問を持たれる方もいることでしょう。しかし、本の刊行とマーケティングは切り離せない問題です。弊社から「14歳向け」の企画を刊行するよりも、すでにシリーズで実績のある河出さんのシリーズから出したほうが、より多くの読者の手に届く可能性があるんですね。

では、小林照幸著『ボクたちに殺されるいのち』をなにとぞよろしくお願いいたします!

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2010年10月27日 (水)

あの多摩川に、熱帯原産の外来種と呼ばれる魚がたくさん泳いでいるそうです。「外来種」とは、元は日本にいなかったものの、なんらかの理由で日本に持ち込まれた動植物のことです。「週刊SPA!」2010年10月26日号の特集「タマゾン側の怪魚を追え」で知りました。

同記事では、多摩川のタマゾン川化の理由として、家庭から流される温かい下水(なんと多摩川の水量の7割!)により水の温度が上昇していることと、飼えなくなったペットの外来種を川に捨てていることがあげられています。そして、後者の理由が問題の根源であることは、いうまでもありません。

安易に外来種を野に放つと、日本に元から棲息していた動植物(在来種)、とりわけ植物以外の生き物の生態系に、悪影響をおよぼす可能性がある。そんな基礎情報が、意外に広く伝わっていないのかもしれません。

たとえば、外来種の魚が餌にしてしまったり、外来種が在来種と交尾することにより中間種が増えることによって、在来種の数が減ります。さらに、魚の場合、元は川の魚はかからなかった病気を、飼育されていた魚が持ち込むこともあります。

これは、魚だけに限った話ではありません。犬や猫も、ペットだったものを野に放てば、野生の小動物を餌にしてしまい、生態系をくずす原因になってしまう場合もある。いずれにしても、はっきりいえることは、問題の根源がそれらの生き物にあるのではなく、捨てる飼い主にある、ということです。

もちろん、芦ノ湖のブラックバスなど、外来種と地域の生態系が共存しているところもあります。ようは、外来種がすべて害になるとは限らない、という話です。とはいえ、それは「たまたま」そうだったのであって、基本的にはペットで飼っている外来種を野に放つことには、大きな問題があるわけです。

ひとことだけいわせてもらえば、「飼ってるペットは、死ぬまで責任を持って育てましょうよ」ということでしょうか。事情があって飼えなくなったら、ほかの飼ってくれる人を見つけましょうよ。そして、それができないのなら、そもそもペットなど飼うことなど、やめるべきだと私は思います。

来月、ペットと人間の付きあい方を考えるため本が、河出書房新社から刊行されます。小林照幸著『ぼくたちに殺されるいのち』。他社の本ですが、私は同書の編集をお手伝いしました。詳細は、後日お知らせしますね。

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2010年10月21日 (木)

「尖閣諸島」(中国名は「釣魚島」)付近で起きた漁船の衝突が、日本と中国とのあいだで領土問題に発展し、日本では「反中」、中国では「反日」を唱う人々によるデモが盛んにおこなわれているようです。

まず、中国のこと。現場にいったわけではないので、詳細はわかりません。いずれにせよ、報道の内容と映像で見るかぎり、デモの人々は、日頃のうっぷんを晴らしているように見えて仕方がありません。領土問題は単なるきっかけなのではありませんか。「だから、問題ないじゃん」とはいいませんが。

中国人作家のノーベル賞受賞を素直に喜べない言論状況。拡大する貧富の差。爆発の材料は、そろっています。興味深いのは、領土問題では「釣魚島」が中国の領土だと中央政府がキャンペーンを張っていたので、おそらく「反日」デモを規制しづらい状況になっていることです。

単なるきっかけとはいえ、領土問題をめぐる「反日」の気運が、中国の人々のあいだで高まりすぎないことを望みたいですね。逆に、「反日」から「中央政府に対する反発」へとデモのテーマが変わっていったら、中国でなにかが起きるかもしれません。いや、起きても抑えつけられてしまうのでしょうか。

さて、それに対する日本の「反中」デモ。こちらは、ネットで調べた範囲で感想を述べますが、一言でいうと火事場泥棒のように見えます。デモとはいっているものの、実態は上記で紹介した中国でのデモのアンチとして人を集め、自分らの存在をアピールする。日本を愛するという大風呂敷を広げたうえで、中国や中国人を徹底的に排斥し、馬鹿にているだけなのでは。

仮に、「反日」デモをしている中国人を排斥し、馬鹿にしたいのなら、なにもしないで、鼻で笑っているのがもっとも効果的だと思います。もちろん、鼻で笑うというのは例えであり、ようはもっとオトナの対応をすべきだろうし、派手なデモをやる前にすべきことや考えるべきことはたくさんある、ということです。

「反中」デモの人々は、自分たちが排斥する側であり、馬鹿にする側である中国人と、まったく同じことをやっているということに気づかないのでしょうか。いくら中国人と日本人が排斥し合ったり馬鹿にし合っていても、「尖閣諸島」の領土問題はすこしも解決しないことなど、ちょっと考えればわかると思うのですが。

そもそも、国を愛しているのなら、東京の街角で中国人を排除する言葉を連呼することなど論外です。お互い、いろいろなわだかまりはあるけれど、中国は日本の隣国であり、経済的にも資源的にも助け合わなければ、とりあえず今後の日本が立ちいかなくなることは、日々のニュースを見ていれば一目瞭然でしょう。

ようは、日本の「反中」デモも、私にはうさばらしの一種にしか見えません。思ったことや感じたことを、咀嚼することなくそのまま発露して、日頃の不満を吐き出している……。東京・上野の街を歩く中国人に「シナ人は出ていけ」なんて言葉を投げても、日本にとっていいことなどひとつもありません。

そんな「反日」デモについて、一部の左翼系メディアは、マスコミが取りあげない、となげいています。しかし、上記のような「うさばらし」など、取材する必要がない、とマスコミはおそらく考えているわけで。ほんの一部の人が、理不尽な理由(愛国=中国人排斥)をもって騒いでいるだけの話です。

で、左翼っぽい人のブログなどを拝見すると、尖閣諸島は日本の領土ではなく、植民地支配の結果として清国から奪ったものだ、なんて書いてあったりします。だから、日本の「反中」デモはナンセンスだという論調ですね。

これまた違和感あり、です。歴史的な事実は、もちろん知っておくべきだとは思います。でも、その事実を踏まえたうえで、この先のことを考えるのならば、「尖閣諸島」の領土問題については、過去の出来事を認識したうえで、両国が腹を割って話し合い、妥協し合い、お互いに納得のいく落としどころを探っていくしか、解決の方法はないと私は思います。

中国のデモはさておき、日本における右と左の「尖閣諸島」をめぐる論調は、ただただ敵に対する反発を示すのみであり、旧態依然としかいいようがありません。繰り返しますが、たとえスタンスが異なっていても、お互いにそれを認めつつ、将来を見据えて、前向きな対話をすることはできないのでしょうか。いまや自民党と共産党が野党として連携する自体なのですから。

右や左の旦那様。このままでは、鶴田浩二さんに「右も左も真っ暗闇じゃあございませんか」っていわれちゃいますよ(笑)

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2010年10月19日 (火)

■日曜はドキュメンタリーの日。フジテレビ「ザ・ノンフィクション」では、25歳になるダウン症の青年とその家族を紹介。今回は、青年の恋がテーマ。この青年に関する番組は、すでに何本か放映しているが、こうして同じ対象を長期で取材しつづける制作者の姿勢には、惜しみない拍手を贈りたい。ついつい人々が目を背けてしまう「ダウン症」に対して、ただ「かわいそう」「運が悪い」という月並みな視点からではなく、正面から寄り添って取材しているのがいい。世の中で不可視になっているものを可視化することも、テレビの大きな役割であることを感じる。

■一方、TBS「報道の魂」は、ジャーナリストの烏賀陽弘道さんがオリコンに訴えられた件を紹介。この裁判、最終的にはオリコンが訴えを取り下げるという異常な展開であった。番組によれば、この裁判が「強者が弱者を黙らせるための口封じ訴訟」であり、アメリカの多くの州では「SLAPP(スラップ)」と呼ばれて規制の対象になっているとのこと。日本には、口封じ訴訟を規制する法律は、まだない。スラップについては、取材者のみならず、一般の人々にも大きく関わる問題なので、規制の気運が高まることを望む。

■NHKスペシャル「貧者の兵器とロボット兵器~自爆将軍ハッカーニの戦争~」は、録画してあるが、まだ観ていない。ほかにも日本テレビの「NNNドキュメント '10」が日曜深夜の放映。一般の人が観る時間帯に放送しているのはNHKスペシャルだけで、あとのドキュメンタリー番組は誰も観ていない時間に放送されている。硬派な番組が放送されているだけマシだともいえるが、観たい番組は視聴者が決めている(=視聴率)のだとすれば、それだけ人々は硬派なドキュメンタリーの放送を求めていないということなのだろうか。

■他方、ゴールデンタイムはバラエティー番組ばかり。それも、どうしようもないほど、内容がないものが多い。芸人やタレントを集めてクイズをしたり海外映像を見たり。つまらないネタでも、手を叩いて大笑い。CMあけには、直前の映像を繰り返して流し、尺稼ぎ……。そんな超くだらないバラエティー番組を垂れ流しているのも、きっと視聴者が決めていることなのであろう。ビートたけしが深夜の番組(2010年9月29日のTBS「ビートたけしのあと1回だけ見ちゃいけないTV」)で、つのだひろが「メリージェーン」を歌うなか、小向美奈子が縄師にしばられるというシーン(これは笑いましたよ!)を演出したくなる気分もわかる。

■チリの救出劇。たしかに、助け出されたこと自体は、喜ぶべきこと。しかし、いろいろな疑問が残る。なぜ大統領があんなに露出するのか。事故を起こした会社は、原因の究明や再発防止策の検討などをおこなっているのか。あそこで働いていたのは33人だけじゃないはずだが、その他の人はどこで何をしているのか。日曜のTBS「報道特集」では、交代要員だった三百数十人が解雇されていたことや、地中の33人が政府やメディアと「ある契約」を結んでいたことが報じられていた。33人が余計なことをしゃべらないのは、この契約にもとづくものであるらしい。美談にはウラがある、という典型的な事例なのかもしれない。

■ブログを更新すると言いながら、なかなか更新できていません。なぜか、ブログやツイッターに対する関心が急速に落ち込んでいる今日この頃です。とはいえ、読んでいただいている方がいるかぎり、ブログは続けていこうと思っています。不定期の更新となりますが、引きつづきよろしくお願いいたします。

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2010年10月 8日 (金)

立川談志師匠いわく、

「世の中では利口な奴は、利口だと世間に嫌われるから馬鹿を装おう。事実、利口ぶってるけど、本当は馬鹿だったっていうのだらけだ」(赤塚不二夫対談集『これでいいのだ。』メディアファクトリー、p184-185)

この本、ためになる(というと赤塚さんに怒られそうですが)言葉の宝庫です。

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2010年10月 7日 (木)

ハンセン病って、知ってます?

「らい菌(Mycobacterium leprae)によって起こる慢性の細菌感染症」で、「体の末梢神経が麻痺したり、皮膚がただれたような状態になるのが特徴。特にその外見から、患者やその家族は差別の対象となり続けた」(はてなキーワードより)。

日本では、1907年から1996年のあいだ、ハンセン病の患者は法律にもとづいて、国立ハンセン病療養所に強制隔離されてきました。伝染力が低いことや完治することがわかったあとも、その隔離政策はつづいたのです。

2010年10月4日の深夜に放送された「報道の魂」(TBS)というドキュメンタリー番組のタイトルは、「証言・八十年目の真実 長島そしてノルウェー」。おもに、同療養所のひとつである岡山県の「国立療養所長島愛生園」で暮らす人々にスポットを当てたものでした。

その前の週には、「NNNドキュメント'10」が「その手をつないで ハンセン病の島から未来へ」というタイトルの番組で、こちらは香川県の「国立療養所大島青松園」で暮らす人々と周辺地域の人々との交流を描いた作品でした。

こういう番組をきちんとつくっていることを知ると、「テレビも捨てたものじゃない」とつくづく思います。しかし、深夜に硬派な番組を放送して、どれだけの人が観ているのでしょう。そう思うと、ちょっと残念な気持ちにもなります。

さて、「報道の魂」の方ですが、愛生園の入所者のひとりによって録音された多くの患者の証言が印象的でした。その証言からは、彼らがいかに不条理な生活を送っていたのかが浮かびあがってきます。

また、「らい菌」を発見したハンセン医師の祖国であるノルウェーでの取材でも、日本の問題点が浮き彫りになっていました。たとえば、同国ではハンセン氏病の患者を基本的には隔離しない方針で、専門の療養所は街中に存在していました。

さらに、ハンセン医師は、じつはらい菌を使って人体実験をしていたことがわかり、裁判の結果、医師をやめさせられていたという興味深い事実を知ることもできました。

で、本エントリーのタイトルに話は移るわけですが、この「報道の魂」のナレーションをしていたのが、なんと女優の吉永小百合さんでした。日曜の深夜(1時20分~)ですから、視聴率が一桁なのは確実。テーマは、ハンセン病。予算だって、けっして多くはないじょう。

つまり、吉永さんにとっては、「ハンセン病に対する不条理な差別を訴える」くらいしかメリットがないのに、ナレーションを引き受けているわけです。なにはともあれ、「たいした女優だなぁ」と感動した次第。

長々と書きましたが、ようはそれがいいたくて、このエントリーを書きました。

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2010年10月 6日 (水)

非常勤をやっている母校の神奈川大学で、先週から講義がはじまりました。同校の場所は神奈川県横浜市神奈川区で、最寄り駅は東急東横線の白楽です。

毎年、この時期の一カ月間だけ、カンボジアのことを話しています。今年で8年目になりますか。

ラーメン好きの私は、すこし早めにいきます。家系の豚骨で有名な「六角家」で一杯食べてから、大学にいくからです。御徒町やら船橋やらの六角家でも食べましたが、やはり本店が一番おいしい。

で、本題はここからです。今年は、去年とはかなり雰囲気が違っていることに気づきました。街の雰囲気も、学内の雰囲気も。なにが違うのかというと、たばこを吸える場所が、ほとんどなくなっている、という部分です。

そういえば、今年4月から神奈川県では、「受動喫煙防止条例」を施行されたのでした。たばこを吸う私は、ほぼ喫煙フリーの街である東京都台東区浅草から白楽に移動してみたところ、違和感をとおりこして、不気味さを感じざるをえませんでした。

別に、どこでも吸わせろといっているわけではありません。たばこ業者の肩を持つつもりもありません。しかし、もうすこしゆるくてもいいんじゃね、というのが率直な思いです。

神奈川県在住の喫煙者のみなさんは、街中が禁煙になってしまう(なってしまった)ことに対して、どう思っているのでしょうか。決まったからには、しょうがない、で済ませていいのでしょうか。こんな強行な措置をする前に、喫煙者のマナーの徹底など、できることはあったのではないか、と私は思ったりします。

神奈川県の状況を見ていると、なぜ「受動排気ガス防止条例」とか「受動酔っぱらいの戯れ言防止条例」などをなぜ施行しないのか、という話になりかねません。「排気ガスは、市民に吸わせっぱなしでいいのかよ」とか「酒場では、酔っぱらいの暴言や臭い息にさらされっぱないでいいのかよ」って発想になる人だっていることでしょう。

ちなみに、神奈川県の飲食店では、こんな声もあがっています。

神奈川県喫茶飲茶生活衛生同業組合理事長・八亀忠勝さん
受動喫煙防止条例の影響を語る
http://food-stadium.com/special/001059.html

犯罪でもないし、一定の愛好者がいることがわかっているのに、「禁止」したり「防止」するのは、どうなのでしょう。上記のとおり、車だって酒だって似たようなものなのに、なぜたばこだけはムキになって「禁止」「防止」するのでしょうか。

たばこを吸わない人からいわせれば、喫煙者が排出するたばこの煙はいい迷惑であることは、よくわかります。でも、車とは縁のない人にとっての排気ガスだって、酒を飲まない人にとっての馬鹿な酔っぱらいだって、迷惑であることに変わりはありません。

そうなると、以下の二点が重要になるかと思います。第一に、なにか法律で「禁止」「防止」すべき迷惑なのか、を誰がどのように判断しているのかということを透明化すること。第二に、迷惑がられる側を説得できるような理由を明示すること。

とにかく、喫煙に対する「禁止」「防止」が、いとも簡単に条例として成立してしまうことは、私にとって不思議で仕方がないことなんですよね。もし「世界的な潮流が……」などといっているのであれば、都合のよいときだけ「世界的」とか持ちださないでくださいよ、といいたいところです。

まあ、誰かさんに対して「いやだなあ」と思っていることがあっても、自分も「いやだなあ」と思わせていることがあるので、「まいっか」という感じではダメなんですかねぇ。もちろん、「いやだなあ」にも限度があるでしょうけれど。

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2010年10月 6日 (水)

藤原新也さんの本やブログは、いつも興味深く読んでいる私ですが、これはちょっと……。

Shinya talk 「愚民が日本を滅ぼす」
http://www.fujiwarashinya.com/talk/index.php?mode=cal_view&no=20101005

これでは、藤原さんの意図がどうであれ、写真に写っている若い人が愚民だ、といっているようなものではありませんか。

民意が神になった場合、その「民」が「愚」だと、とんでもないことがおこる。この藤原さんの視点には同意できます。しかし、このエントリーの文章と写真の組み合わせは、まるで藤原さんが神になってしまっているようにも思えます。

けっして若者の提灯を持つつもりはありませんが、若い人にもいろんな人がいるでしょう。

このように一刀両断すると、若くない人にはウケるのかもしれませんが、若い人には「なにこのオッサン」と一刀両断されて終了~、になってしまうのでは。

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2010年10月 3日 (日)

さっそく、連投で失礼します。

ブログのアクセスカウンターを見たら、いつのまにやら100万アクセスを超えていました。

思い起こせば、はてなダイヤリーで双風亭日乗をはじめたのが2005年4月。ココログに引っ越したのが2008年1月。

5年ちょっとで、こんなに多くの人にこのブログを読んでいただいたのか、と感動しているところです。いつも読んでいただき、ありがとうございます。

世に問題提起すべきことや訴えるべきことは、やまほどあると思います。私は出版社をやっているので、本で問題提起をしたり訴えたりするのは当然のこと。

とはいえ、本にはならないけれど、いいたいこともやまほどあります。それを、ブログで書いていければと思っています。

まずは、ちゃんと更新することからはじめます。引きつづき、よろしくお願いいたします!

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2010年10月 3日 (日)

気づいたら、一カ月以上、まともに更新していませんでした。やばいです。このままでは休眠ブログになってしまいますな。

最近は、本を読んで、テレビを見て、映画を見て、企画を考えて、いまある企画を進めていて、なぜかブログにもツイッターにも興味がわかない状態でした。

理由は、よくわかりません。ネットでいろいろ検索したりは、するんですけどね。これまで、コンスタントに更新してきたのに、なぜでしょう。ブログ倦怠期、とかあるんでしょうか(笑)

さて、書籍化して好評をいただいている茂木健一郎・斎藤環著『脳と心』ですが、元となった往復書簡の全文を、ふたたび公開いたします。「発売前後は、非公開にしよう」となんとなく思っていましたが、そもそも私は、同じ文章を「ネットで公開したから、書籍が売れなくなる」とは、まったく考えていません。

ネット上にしろ書籍にしろ、ひとりでも多くの人に読んでもらうこと。ネットで興味を持っていただき、書籍を買っていただくこと。その売り上げで、ほそぼそと、つぶれない程度に経営を維持すること。それでいいんじゃないか、と思っています。

今週からは、更新するぞ、更新するぞ、更新するぞ!

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