双風亭日乗

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2014年5月 6日 (火)

浅草のローヤル珈琲店で、中森さんと私が本の打ち合わせをしたのは、2013年5月8日のことでした。その後、何度もやりとりをしながら、本年5月7日の発売に向けて、ちょうど1年がかりで本を作ったことになります。

おかげさまで、ヨーロッパのお酒については、私もすこし詳しくなりました。本を世に出す、とくに旅行記などの場合、一般の読者が読んでわかるような内容にする必要があります。ですから、ちょっとわからない単語がでてくると、ネットで調べつつ、中森さんを質問攻めにしてしまいました。

中森さんも本の中で語っていますが、バーテンダーという職業は、「水商売」というネガティブな印象を含むレッテルが貼られてしまいがちなのが日本の現状だと思います。しかし、ヨーロッパ各国では、人々に尊敬されるひとつの職業として、バーテンダーは認知されています。

おそらく、『旅するバーテンダー』を読んでいただければ、バーテンダーを「水商売」だと安直にくくることなどできなくなるでしょう。店を訪れるお客さんに魂のこもった一杯を提供するため、これだけのことをやっている人がいるのか、と思っていただけます。

最後に、中森さんがだだ蒸留所を訪ねるだけでなく、コニャックの造り手の家族とも交流を深め、それを何度も読んだ私自身もファンになってしまったフランスの「ギイ・ピナール家」の写真を紹介しておきます。カバーの写真として使おうかどうか、最後まで迷った写真です。『旅するバーテンダー」の本扉に掲載しましたが、そちらは白黒なので、ぜひカラーでご覧ください。

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それでは、『旅するバーテンダー』をぜひご一読ください。よろしくお願いします!

(おわり)


『旅するバーテンダー 〜浅草発。究極の一杯に向けてヨーロッパを駆ける』
中森保貴 著
本体 1800円

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2014年5月 6日 (火)

『旅するバーテンダー』の著者である中森保貴さんが、インターネットラジオに生出演します。中森さんのこと、旅での思い出、そして『旅するバーテンダー』という本に関するお話が聞けると思います。

「ソラトニワ銀座ラジオ」は、銀座・松屋の屋上から放送しているラジオ局なんだそうです。以下のリンクを開き、右上の「soraxniwaFM」というリストにある「GINZA」をクリックすると、ラジオを聴くことができます。

ソラトニワ銀座ラジオ
番組名「SxG Box~Travel~」 
中森さんが出演するのは、5月7日(水)14時45分頃〜(約30分間)
http://www.soraxniwa.com/tickets/94358d45

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2014年5月 6日 (火)

バーテンダーの方々がヨーロッパを旅して、現地で酒を仕入れる。その仕入れた酒を、自分の店でお客さんに提供する。そういう話は、よく耳にします。しかし、中森さんはお酒を仕入れるだけのためにヨーロッパを旅しているのではありませんでした。

航空券から現地での宿泊先、レンタカーの手配、蒸留所などへのアポイントなど、ほとんど自力でやる。けっして観光レベルでは味わえないような、人との出逢いがあり、それを大切にする。とにかく、旅先で見たものや逢った人々との思い出をできるだけ吸収し、日本に持ち帰り、店の運営と雰囲気づくりに活かそう。そういう思いが、ブログからひしひしと伝わってきたのです。

慣れない海外での、なおかつ自力で手配する旅ですから、旅程が順調に進むわけがありません。ときには、大幅に体調を崩す。ときには、スピード違反で捕まって、レンタカーも免許も警察に没収され、途方に暮れる。ときには、公園で財布を盗まれるも、奇跡的に見つかったり……。

とにかく、単に酒を仕入れるためにヨーロッパ各国をまわる旅ではありません。ユーモアがあり、シリアスな場面もあり、そして感動もある。旅行記を読むと、中森さんの人となりがわかる。そんな内容でした。これは弊社の書籍として刊行する価値がある、と私は思いました。

(つづく)


『旅するバーテンダー 〜浅草発。究極の一杯に向けてヨーロッパを駆ける』
中森保貴 著
本体 1800円

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2014年5月 5日 (月)

「DORAS」に通ううちに、中森さんとは世間話からお互いの恋愛話までするようになりました。「最近、うまくいってます?」とか「ケンカしちゃいましたよ〜」となどと戯れ言を交わす間柄に。

また、冗談で「モーツアルトのコスプレをして、カウンターに立ってもらいたいですね」と言ったところ、数ヶ月後には衣装やカツラを準備して、ほんとうにモーツアルトの姿でシェイカーを振ってくれました。

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そんなある日、中森さんから連絡がありました。店のブログで連載している旅行記を、書籍にしてみたい、と。双風舎としては、これまで出した書籍と毛色の違ったものを出していいものか、と少し迷いました。とはいえ、まずは旅行記をじっくり読んでみようと思い、ブログを読んでみました。

中森さんが毎年、1週間から10日間くらい店を閉めて、ヨーロッパを旅していることは知っていました。ただし、旅の詳細を知るのは、旅行記を読んでからのこと。もちろん、プロの物書きではないので、文章技術には難点があまりしたが、読み進めるうちに「これはおもしろい!」と思うようになったのです。

では、何がおもしろかったのか?

〈つづく〉


『旅するバーテンダー 〜浅草発。究極の一杯に向けてヨーロッパを駆ける』
中森保貴 著
本体 1800円

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2014年5月 4日 (日)

店の名は「DORAS」(ドラス)。スコットランドの言葉で「扉」を意味するそうです。

店のたたずまいは、けっして一見では入れるようなものではありません。重厚というか、隠れ家的というか……。しかし、紹介してもらった勢いで、思い切って入りました。たしか、深夜の1時か2時だったと思います。

店の内部はとても暗く、光っているのは最低限の光量にした照明とろうそくの明かりのみ。BGMはオペラ。カウンターの中にいるバーテンダーの中森さんは、ほとんど言葉を発しません。正直、最初は「まちがった場所に来てしまったのかも……」と思いました。

とはいえ、他のお客さんがいなくなると、少しずつ会話が弾むようになり、打ち解けていきました。

中森さんは、私よりも10歳ほど年下であること(私は最近、50歳になりました)。
浅草で生まれ育ったこと。
ガレージを改装して、現在のお店になったこと。
大学を出てから酒屋さんで働き、その後、いくつかの店でバーテンダーの修行をしたこと。
などなど。

驚いたことに、当時の中森さんは、バーテンダーをやりながら、プロのシュートボクサーとしてリングに立っていました。また、店の定休には、いまでもサーフボードを車に積んで海に出かけています。

店のカウンターの中にいる中森さんは、生真面目で冷徹な人だという第一印象を持ちました。しかし、その素顔はひょうきんなところもあり、店の客としての私は、彼に対して好印象を持ちました。

出逢ったその日に、「おもしろい人だなあ」と私は思いました。

〈つづく〉


『旅するバーテンダー 〜浅草発。究極の一杯に向けてヨーロッパを駆ける』
中森保貴 著
本体 1800円

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2014年5月 4日 (日)

5月7日に『旅するバーテンダー』が配本となります。著者は、東京台東区花川戸という隅田川沿いの町でバーを経営する中森保貴さん。まずは、ご本人の写真をご覧ください。

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さて、読者のなかには、「社会派(笑)の本を多く出している弊社が、なぜバーテンダーの本を?」と思われた方がいるかもしれません。その答えも含めて、以下では中森さんについて書いてみようと思います。

いろいろわけがあって、私は2008年に台東区谷中から浅草に引っ越しました。わけというのは離婚なのですが、一人暮らしをしたのは18歳から21歳の3年間のみ。ですから、なんと23年ぶりに一人で暮らすことになりました。

引っ越したての時期は、さびしさをまぎらすために、浅草のお店を一通りまわりました。バーも、いろんなところにいきました。まず、もっとも自宅から近かったFOSというバーに通います。そこで「いいバー、ありませんかね?」とオーナーの森さんにたずね、紹介してもらったのが中森さんのバーでした。

〈つづく〉


『旅するバーテンダー 〜浅草発。究極の一杯に向けてヨーロッパを駆ける』
中森保貴 著
本体 1800円

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2014年5月 3日 (土)

こんにちは。

今年2冊目の新刊をご案内いたします。5月7日配本の『旅するバーテンダー』です。サブタイトルは「浅草発。究極の一杯に向けてヨーロッパを駆ける」。著者は、東京・浅草で「BAR DORAS」を経営する中森保貴さんです。

以下、同書向けの販促チラシのテキストを引用し、本の紹介に代えさせてさせてもらいます。

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すべてはお客さまに
「魂の一杯」を提供するために。

東京・浅草の隅田川沿いに、知る人ぞ知るバーがある。
マスターみずからヨーロッパ各国をめぐり、
みずから仕入れた酒を日本のお客様に提供しているこだわりの店だ。

著者の中森には、2005 年に「BAR DORAS」(バー・ドラス)を開業して以来、
こだわり続けていることがある。
それは、店に入った瞬間から、
お客様にはヨーロッパの雰囲気を味わってもらいたいこと。
そして、注いだ一杯の酒からヨーロッパの息吹を感じてもらいたいこと。
そのために、毎年一度、彼はヨーロッパを旅する。

蒸留所をまわり、酒を仕入れ、現地の人々と交流する。涙あり、笑いあり。
本書は、酒と真剣に向きあい続けているバーテンダーの、
けっして観光ではない、旅の記録である。

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本の発売を記念して、短期で「『旅するバーテンダー』製作秘話」を本ブログにて、本日から連載します。なぜ、小難しい本を出している出版社が旅行記を、と疑問に思った読者に、その答えを知ってもらえれば幸いです。

では、『旅するバーテンダー』を何卒よろしくお願いします。


『旅するバーテンダー 〜浅草発。究極の一杯に向けてヨーロッパを駆ける〜』Photo

中森保貴(ナカモリ・ヤスタカ) 著
本体 1800円
ISBN978-4-902465-19-8 C0096
2014年5月7日配本

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