双風亭日乗

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2015年4月27日 (月)

うちのような小さな出版社は、出す本の部数が少ないし、書店の認知度も低いのが基本です。書店に配本される部数も少なく、通常は棚に1冊だけ指されるか、よくて平積みにしてもらえるか……。

他方、大手出版社が出す本のように、発行部数が多く、書店の認知度が高い本は、著名な著者であればいきなりドーンと10面くらい平積みになっていたりします。

こうした現状は、出版社の書店に対する売り上げ的な貢献度からいえば、当然の結末だとも言えます。また、書店には日々、ものすごい量の新刊が取次から送られてくる(送りつけられてくる?)わけで、その中からどの本に力を入れて販売するのかを判断するのは、容易ではありません。

しかし、そんな現状の中でも、出版社の大小にかかわらず、作品の内容や著者の実績に目をつけてくれる書店員も確実に存在します。このように!

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写真は、紀伊國屋書店新宿本店2Fの文芸書売場にある「新刊・話題の本」の棚です。弊社の新刊『中澤系歌集uta0001.txt』(黒いカバーに白いオビの本)が16面で展開されており、中央には書店員の作成による立派な本紹介のパネルが設置されています。くわえて、並べられた本の横に、中澤系さんの短歌がいくつか配置されるという凝りよう……。すばらしい!

この棚を作ってくれたのは、同店2Fで詩歌の棚を担当する梅崎さんです。ありがとうございます。本の売り上げがどうこうという前に、天下の紀伊國屋書店新宿本店で、うちの本がこうして扱われたことに対し、素直に喜びを感じます。

また、手前味噌になってしまいますが、小さな出版社(というか双風舎は「ひとり出版社」)であっても、出す本を書店員に見つけてもらい、気に入ってもらえれば、本が書店で大々的に展開してもらえる可能性がある、ということが言えるかもしれません。

うちの本が同店で大きく展開されたのは、これが3冊目です。1冊目は、記念すべき弊社の初めての本となる『挑発する知』(姜尚中・宮台真司著)で、担当者は和泉さん。2冊目は、『若者を見殺しにする国』(赤木智弘著)で、担当は大藪さんでした。

いずれにせよ、うちの本が大手の書店に、1面の平積みにしてもらえるだけでもありがたいことですから、写真のように扱ってもらえるのは、まさに奇跡だと言えましょう。著者の力。著者の遺族の力。編集で関わった方々の力。寄稿していただいた方の力。取次の力。そして、書店員の力。これらの力が結集して生まれた、小出版社のミラクル@紀伊國屋書店新宿本店なのです。


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2015年4月23日 (木)

社会学者の宮台さんが中澤系さんの歌集に文章を寄せることについては、宮台さんのファンもしくは社会学に関わる読者にとっても、中澤系さんのように短歌を詠む読者にとっても、意外なことだったかもしれません。

たしかに、『uta0001.txt』と関わるまで、宮台さんが短歌と関わったという話を私は聞いたことがありません(あるのかもしれませんが)。また、歌人の読者にどれだけ宮台さんが認知されているのかも知りません。

それでも、あえて宮台さんに登場していただいた理由は、こちらに少し書きました。「中澤系」→「社会学」→「宮台真司」という流れですね。

それにしても、「なぜ歌集に宮台さん?」と思う読者もいることでしょう。このコラボには、私の願望のようなものが含まれています。あくまでも願望なので、実行するかどうかは、中澤りこうさん(中澤系さんの妹)に判断を委ねました。

その願望とは何か。それは、できるだけ多くの読者に中澤系さんの短歌を読んでもらうべく、最大限の工夫をしたい、というものでした。ありがたいことに、りこうさんは、文句のひとつも言わずに同意してくれました。

数少ない作品を除き、短歌の歌集は一般的には売れず、限定された方々が主に自費出版で刊行し、その限定された部数の本を、限定された方々が買う。それはそれでよいと思うし、そういう方々をターゲットにした出版社があってもよいと思います。

でも、なにか工夫をすることによって、読者の限定を少しでも解除できたらいいな。ふだん、短歌に接しないような読者の手に届くような仕掛けができたらいいな。そんな思いが具体化し、宮台さんによる寄稿、そしてオビの一文の執筆が実現することになりました。

6月6日に予定している宮台さんと穂村弘さんのトークセッションも、そうした工夫の一環です。

歌集への社会学者の寄稿にしろ、トークセッションの実施にしろ、ある種の違和感を抱く読者がいるかもしれません。とはいえ、その違和感こそが、私なりに中澤系さんの短歌を多くの人に読んでもらうための戦略であり、中澤系さんへの敬意を表す手段でもあります。

なんの工夫もなく、元の本をただただ復刻することは、とても簡単なことです。でも、それでは読者層の限定を解除することが、おそらくできません。すでに中澤系さんを知る読者の中には、「それでもいい」とか「それだからいい」と考える方がいるかもしれません。しかし、それではもったいないと『uta0001.txt』を読めば読むほど私は思うのです。

中澤系さんを知る読者はもちろんのこと、中澤系さんを知らない読者の手に届けたい。それが中澤系と宮台真司を1冊の本の中でつないだ私の願望なのです。

うまくいくかどうかは、しばらくたってから検証してみましょう。

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2015年4月20日 (月)

みなさま、こんにちは。

以下は、『中澤系歌集 uta0001.txt』を多めに注文していただいた書店のリストです。通常、本は売れないと書店から出版社に返品されてしまうため、同書の在庫がいつまであるのかは不明です。電話で在庫を問い合わせてから、書店を訪ねるのがよいかと思います。

また、書店に在庫がなくても、注文していただければ2週間前後で書店に届きます。人文書の扱いが少ない書店では、双風舎のことを知らない書店も多いと思いますが、「双風舎が、どこの取次でも扱うと言っていた」と書店員に言っていただければ、注文は可能となります。

以下のリストの中でも、とりわけ紀伊國屋書店新宿本店〈2F〉では、しばらくのあいだ力の入った販売がおこなわれる予定です。確実に入手したい方は、ぜひ同店をご利用ください。

〈『uta0001.txt』 取り扱い書店リスト〉

ジュンク堂書店池袋店
ジュンク堂書店新潟店
ジュンク堂書店吉祥寺店
MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店
紀伊國屋書店新宿本店〈2F〉
紀伊國屋書店新宿南店
紀伊國屋書店梅田本店
東京堂書店
ブックファースト新宿店
丸善丸の内本店
丸善川崎ラゾーナ店
八重洲ブックセンター本店
戸田書店静岡本店
ちくさ正文館(名古屋)
葉ね文庫(大阪)


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2015年4月17日 (金)


問い合わせが多いので、書店様にご案内いたします。

弊社の書籍は、株式会社JRC(東京・神田神保町)という取次の一手扱いとなっております。JRCからすべての取次に対して、鍬谷書店(東京北区の取次)を経由しての出荷が可能となっています。

ですから、お客様から注文を受けた場合、通常通り、お取引のある取次にご発注いただければ、鍬谷書店を経由した上でJRCが受注し、出荷させていただきます。

急ぎの場合は、JRCに電話して、「書名」「取次名」「コード」「書店名」「冊数」などをお知らせいただければ、すぐに出荷いたします(JRCの電話番号は、03-5283-2230)。

以上、なにとぞよろしくお願いいたします。

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2015年4月17日 (金)

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新刊が出ます。

中澤系著『中澤系歌集 uta0001.txt』

本体価格1900円。
2015年4月24日の配本となります。この日は、著者である中澤系さんの命日でもあります。

全国の書店で購入できます。書店にて「著者名」と「書名」、「出版社名」を書店員に伝えた上で注文してください。東京の大きな書店では、店頭で購入できるところもあります(紀伊國屋書店新宿本店2Fなど)。電話で問い合わせた上で、書店をおたずねください。

また、この本を刊行するにあたり尽力なさった「中澤系プロジェクト」から購入することも可能となる予定です。書店が近くにない方などは、ご利用いただければ幸いです。こちらは、詳細が決まりましたらお知らせします。

さらに、刊行記念のトークセッションを6月に開催する予定です。トークに参加していただくのは、宮台真司さん(社会学者)と穂村弘さん(歌人)。こちらも、詳細は追ってお知らせします。

ちなみに、この本の帯のテキストは、宮台さんによるものです。

最後に、この本に関するくわしい情報が、未来短歌会の本多真弓さんによって、以下のブログで紹介されています。ぜひご一読ください!

http://tankaful.net/39

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2015年4月 8日 (水)

ごぶさたしております。
人文書の双風舎が歌集を刊行することになりました。

中澤系(ナカザワ・ケイ)さんの『uta0001.txt』という歌集です。
雁書館という版元から出ていた本の新刻版となります。

では、なぜ双風舎から歌集なのか?
簡単に事情を説明します。

著者で歌人の中澤系さんは、2009年4月に副腎白質ジストロフィーという難病で息を引きとりました。中澤さんがお元気だったころ書かれた短歌を、闘病中に有志の方々がまとめたもの、それか同書となります(2004年刊行)。

同書の在庫が稀少になったところ、復刊を望む読者が多く、またご遺族にも復刊の意志があったことから、著者の妹である中澤瓈光(リコウ)さんが復刻を担当する版元を探しはじめます。そして弊社に声がかかったというわけです。

では、瓈光さんは、なぜ双風舎を選んだのか。おうかがいした話によると、第1に中澤さんが早大時代に社会学を学んでいたこと、第2に宮台真司さんの影響を受けたと思われる短歌が散見されること。たしかに、中澤さんの歌を詠み込んでいくと、ところどころに宮台さんの影響が見られ、また人文系の学問をやっていたという匂いもします。

とはいえ、歌集を出すことについて、私は一瞬、躊躇しました。弊社のような弱小版元は、ある程度の専門性を持った本を出しているがゆえに、生き残れるからです。書店の詩歌の棚に並ぶような本をつくったこともありません。

それでも、私自身が見本でいただいた同書を読みこむうちに、この歌集は双風舎が出すべき本の守備範囲に入っているものなのではないか、と思うようになりました。現代社会をシニカルに、アイロニカルに、そしてコミカルにとらえた作品がいくつもあり、それらが私の心をとらえたのでした。

こうして、双風舎から歌集が出ることになりました。ただの復刻版ではなく、新たな要素を加えた新刻版として。本の大きさや装丁を一新し、別刷りだった栞を本文に掲載しました。短歌界からは歌人の斉藤斎藤さんに解説を書き下ろしていただきました。さらに、双風舎らしさ(?)を出すため、宮台さんにひと肌脱いでもらい、寄稿してもらいました。

今日は、こんなところで。本に関するくわしい情報は、追ってお知らせいたします。

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