チマ・チョゴリ制服の民族誌
韓東賢
チマ・チョゴリ制服の民族誌 ~その誕生と朝鮮学校の女性たち~
韓 東賢 著
制服の歴史から、在日の歴史が見える!
朝鮮学校の制服は、なぜチマ・チョゴリなのか?
政治的に語るだけでは、けっして見えてこない制服誕生の史実を、歴史の検証と当事者への聞き取りによってあきらかにする。日本で初めての本格的なチマ・チョゴリ制服の研究書。
北朝鮮バッシングが起こるたびに、朝鮮学校の女子が着るチマ・チョゴリ制服が切られてきた。なぜ切られるのか。
そもそもチマ・チョゴリ制服は、北朝鮮を表象するような民族衣装なのか。
そして、本国にもなかったチマ・チョゴリ制服が、日本の朝鮮学校の制服として、なぜ採用されることになったのか。
本書は、これらの素朴な疑問を抱いた著者が、在日朝鮮人社会で複雑に交錯するナショナリズムやエスニシティ、ジェンダーを、女性たちの「着衣」という行為を通じて考察することにより、何が問題なのかを解き明かしていく過程を記したものである。
在日朝鮮人である著者の特徴を最大限に活かして採取された、在日女性らによるチマ・チョゴリ制服に関する貴重な証言は、これまで類を見なかったものである。
越境者としての在日社会の歴史や文化を、チマ・チョゴリ制服をキーワードに考える。
そして、「北朝鮮=チマ・チョゴリ制服」と短絡的に考えることの愚かさを思い知らされる一冊である。
■目 次■
はじめに――「チマ・チョゴリ制服」とは何か――
第一章 チマ・チョゴリ制服について考えるために
一 アイデンティティと着衣
近代化と衣服の機能
学校制服と民族衣装
二 移民・越境者のエスニシティとナショナリズム
エスニシティとナショナリズム
対立する二項を結ぶ「名づけ-名乗り」と「伝統の創造」
二項対立からパフォーマンスへ
三 民族におけるジェンダー
エスニック境界とジェンダー
チマ・チョゴリ制服と家父長制批判
ステレオタイプを越えて
第二章 服飾史・社会史的に見たチマ・チョゴリ制服
一 デザインのルーツ
朝鮮半島の伝統衣装
朝鮮の近代化と「新女性」
洋装の到来と衣生活の変化
伝統と近代、支配と被支配の狭間で
二 制服化の背景
民族教育のはじまりと苦難の道のり
「生命水」と朝鮮学校
北朝鮮への「帰国ブーム」
「祖国熱」と学校文化
チマ・チョゴリ制服とエスニック・リバイバル
第三章 チマ・チョゴリ制服を生んだ人びと~当事者の声によるリアリティの再構成~
一 インタビュー調査の方法と概要
二 チマ・チョゴリ制服誕生へのストーリー
率先して着用した女性たち
見えない制度化の経緯
三 チマ・チョゴリ制服への道のり――当事者との対話
①「セーラー服がいやで、大好きなチョゴリで通学」――Eさん
②「取り戻した民族性を、服でも表現したかった」――Nさん
③「朝鮮人の誇り、民族の誇りを生徒たちに」――Qさん
第四章 着衣によるアイデンティティの表現をめぐって~インタビューの分析~
一 エスニック・アイデンティティの表現としての着衣
朝鮮人としての誇り、民族性の表現
在日朝鮮人ゆえの「伝統の創造」
自覚から表現、「主観」から「客観」へ
チマ・チョゴリ制服のメディア性、機能性、そしてアクセシビリティ
モードとナショナリズム
二 着衣によるエスニック・アイデンティティの表現とジェンダー
女性の自立と民族の解放
コミュニティ外部との境界認識
「かくれたカリキュラム」
表現方法と表現形態の選択肢
おわりに――ポスコロはコスプレである?――
【書籍情報】
46版、並製、242ページ
定価2200円(税5%)
2006年5月25日発売
ISBN: 4-902465-08-6 C0036
イラスト: 森伸之
【著者略歴】
韓東賢(ハン・トンヒョン)
1968年東京生まれ。小学校から大学まで16年間、朝鮮学校にかよう。朝鮮大学校卒業。朝鮮新報記者を経て、立教大学大学院文学研究科博士前期課程修了。現在、東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程に在籍。

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