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日常・共同体・アイロニー

仲正昌樹, 宮台真司

日常・共同体・アイロニー日常・共同体・アイロニー ~自己決定の本質と限界~

宮台真司・仲正昌樹


「自分で決める」って、どういうことなのでしょうか?


自分で決めていると思っていても、じつは組織や共同体の意向を反映していたりするし、「私」が自分で決めたからという理由で、「国家」が「私」を見捨てることもあったりします。そんな編集者の素朴な疑問を、社会学者・宮台真司さんと社会哲学者・仲正昌樹さんにぶつけてみました。


すると、ふたりの討論は自己決定にはじまり、現代思想、共同体、リベラリズム、ロマン主義、公正と正義、宗教、そしてアイロニーへと、果てしなく膨らんでいきました。


2004年11月27日には、イラクで新たな日本人人質事件が発生。「自衛隊を撤退せよ」と要求する犯行グループに対し、小泉首相はすぐに「自衛隊は撤退しない」と明言。
小泉さん、「人質になった君よ、自衛隊は撤退しないので君の命はどうなるかわからない。でも救出のための最大限の努力はする」という意味の発言を、あのタイミングでしてはマズい。


「自分で決めて」イラクに入った日本人が人質になると、「自分で決めた」代表者が運営する「国家」は、いったいどのような対処をするのか。
いま進行している事態を参照しつつ、この本を読んで「自己決定」について考えてみては?


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■目 次■


はじめに 仲正昌樹

第一章 現代思想と自己決定
 一 エクリチュールと現代思想
   現代思想と主体性 / 市民社会の外部に生き生きとしたものを求める
   エクリチュールのパラドックス / じっと待つのか、破壊するのか
 二 現代思想と自己決定
   哲学の基礎知識 / 主体とは何か / 現代思想のアイロニカルな構造
   虚数と実数が錯綜する現代社会 / 自己決定が共同体と相反するとはかぎらない/
   議論の前提としての教養
 三 自己決定と共同体
   がらくたの集まりとしての現代思想 / 目くそ鼻くそと五十歩百歩
   学生を懲戒する大学という組織 / ふたつの見方を併存させる
   公共善に関するコミュニケーションは可能か

第二章 共同体と自己決定
 一 リベラリズムと共同体
   共同体主義の矛盾 / 主義と主義者 / 近代主義の一種としての伝統主義
   生活実感を評価する物差し
 二 共同体とロマン主義
   真空状態で発言することはできない / ロマン主義とアイロニー
   全体性に言及できる思考とは / アイロニカルな行動への自覚が必要
   すっきりすれば、いいってものではない
 三 ロマン主義とアイロニー
   すべての事柄は、突き詰めると墓穴を掘る / 牢獄を出ると、そこはまた牢獄
   三島由紀夫のような振る舞いは必要なのか /「あえて」することの意味

第三章 リベラリズムとアイロニー
 一 自己決定と自己責任
   イラク人質事件とは何であったのか / 本人不在でエスカレートした理由 /
   誰が自己決定すべきなのか / 右も左も「弱い犬ほど吠えたがる」/
      自己責任の本義
 二 自己責任と正義
   互換可能性への疑問 / 正義に対する責任 / リベラル・アイロニストの役割
   くどい語り口の意味 / 説得と取引
 三 正義と応答
   ぶら下がり大国・日本 / 恒久的な正義はあり得ない / 過去の帰結への責任
   思考の源泉としてのイエス / 超越思考は有害か?

第四章 日常・共同体・アイロニー
 一 日常と宗教
   日常性とは何か /『終わりなき日常を生きろ』再考
   現代思想と統一協会体験の接点 / すこしだけ超越している状況が危ない
 二 宗教と本来性
   パウロによる布教戦略の有効性 / 近代社会と身体性
   「真の共同体」という幻想 / 資本主義社会における銭湯としての疎外論
 三 本来性とアイロニー
   「そもそも」の誤謬 / 日常性の枠を超えるためのアイロニー

おわりに 宮台真司

【書籍情報】
46判、並製、288頁
定価1890円(税5%)
2004年12月20日発行


【著者略歴】

宮台真司(ミヤダイシンジ)
1959年、仙台市生まれ。社会学者。東京大学助手、東京外国語大学講師を経て、首都大学東京都市教養学部准教授。著書に『権力の予期理論』(勁草書房)、『援交から天皇へ』(朝日文庫)、『挑発する知』(姜尚中氏との共著)、『限界の思考』(北田暁大氏との共著、ともに弊社刊)など。

仲正昌樹 (ナカマサ・マサキ)
1963年広島生まれ。東京大学総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。現在、金沢大学法学部教授。専攻は、社会思想史、比較文学。『ポスト・モダンの左旋回』(情況出版)、『歴史と正義』(御茶の水書房)、『「不自由」論』(ちくま新書)、『なぜ「話」は通じないのか』(晶文社)など多数。

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