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「子猫殺し」を語る

坂東眞砂子

Photo_3「子猫殺し」を語る
――生き物の生と死を 幻想から現実へ

坂東眞砂子


2006年8月18日付の日本経済新聞夕刊コラム「プロムナード」に、坂東眞砂子による衝撃的なコラムが掲載された。タイトルは「子猫殺し」。このコラムをめぐり、おもにネット上では、猫好きの人々による坂東バッシングが一斉に起こった。

「熱しやすく冷めやすい」というネットの特徴を体現するように、その後、あれだけ加熱した「子猫殺し」に関する議論は終息。けっきょく、坂東による問題提起は中途半端な状態で、世の中に受け入れられてしまった。

本書は、「子猫殺し」の議論を中途半端な状態で終わらせてはならない、という著者と出版社の意向でつくられた。人も獣も含めて、この世に生を受けた生き物が「生きる」こと、そして「死ぬ」こととは、どういうことか。また、「子猫殺し」バッシングとはいったい何だったのか。このふたつの問題について、2006年の騒動を検証することによりあきらかにする。

本書の第一部では、問題となった「子猫殺し」を含む24本のエッセイ(日経夕刊に連載されたもの)を掲載。この連作エッセイは、「生き物の生と死を考える」というテーマで書かれており、「子猫殺し」もエッセイ全文の文脈のなかに位置づけたうえで読んでもらえればと考えている。

第二部では、本書のテーマを掘り下げるために、東琢磨さん(音楽評論家)と小林照幸さん(ノンフィクション作家)、そして佐藤優さん(起訴休職外務事務官、作家)が、それぞれ坂東さんと徹底討論をおこなった。

東対談では、「管理されないものは愛されない」というテーマで、ネット社会、正義とは何か、日本社会の現状などについて議論してもらった。小林対談のテーマは、「人が動物を飼うことの責任を考える」。生き物に対する責任、食育のたいせつさ、動物愛護などについておふたりが語る。そして、佐藤対談では、「『子猫殺し』バッシングというファシズム」というテーマで、騒動の原因、愚行権、「猫とファシズム」などが議論される。

坂東さんがなぜ子猫を殺したのか。そして、坂東さんはなぜ叩かれたのか。その真意を探り、状況を検証してみる。すると、「子猫殺し」から見えてきたのは、日本社会の現状であった。

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【目次】
まえがき  双風舎編集部

第一部 「生き物の生と死を考える」
  日経新聞夕刊連載「プロムナード」全文 (「子猫殺し」を含む24本のエッセイ)

第二部 「子猫殺し」を語る
 第一章 「管理されないものは愛されない」
      坂東眞砂子×東琢磨(『ヒロシマ独立論』著者) 対談
 第二章 「生き物の命と向きあうために」
      坂東眞砂子×小林照幸(『ドリームボックス』著者) 対談
 第三章 「『子猫殺し』バッシングというファシズム」
      坂東眞砂子×佐藤優(『国家の罠』著者) 対談

あとがき  坂東眞砂子

【書籍情報】
46版、並製、288ページ
2009年2月26日発売
定価1,785円(税5%)
ISBN4-902465-15-0

【著者略歴】
坂東眞砂子 (ばんどう まさこ)
1958年、高知県生まれ。作家。大学卒業後、ミラノに留学。帰国後、フリーライターを経て作家に。1996年、『桜雨』(集英社文庫)で島清恋愛文学賞受賞。1997年、『山妣』(新潮文庫)で直木賞受賞。2002年、 『曼荼羅道』(集英社文庫)で柴田錬三郎賞。著書に『死国』(角川文庫)、『狗神』(角川文庫)、『傀儡』(集英社)など。

【対談者略歴】
東 琢磨 (ひがし たくま)
1964年、広島県生まれ。 音楽評論家。2005年に本拠を東京から故郷広島に移す。ヒロシマ平和映画祭実行委員会事務局長、連続ティーチ・イン沖縄実行委員なども勤める。著書に『ラテン・ミュージックという「力」』(音楽之友社)、『おんなうた』(インパクト出版会)、『違和感感受装置』(冬弓社)、『全-世界音楽論』、『ヒロシマ独立論』(以上、青土社)、、『広島で性暴力を考える』、『フードジョッキー宣言』 (以上、ひろしま女性学研究所、近刊)など。

小林照幸 (こばやし てるゆき)
1968年、長野県生まれ。ノンフィクション作家。明治薬科大学在学中の1992年に『毒蛇(どくへび)』(『完本 毒蛇』として文春文庫)で第1回開高健賞奨励賞、1999年に『朱鷺(トキ)の遺言』(中公文庫)で第30回大宅壮一ノンフィクション賞を最年少で受賞(=当時)。信州大学経済学部卒。明治薬科大学非常勤講師(生薬学担当)。著書に『神を描いた男・田中一村』(中公文庫)、『熟年性革命報告』『熟年恋愛革命』(以上、文春新書)、『ドリームボックス』『政治家やめます。』 (以上、毎日新聞社)、『野の鳥は野に』(新潮社)、『パンデミック』(新潮新書)など。

佐藤 優 (さとう まさる)
1960年、東京都生まれ。起訴休職外務事務官、作家。同志社大学大学院神学研究科修了。1986年、外務省入省。在モスクワ日本国大使館などを経て、本省国際情報分析第一課勤務。主任分析官としてロシア外交の最前線で活躍した後、2002年に偽計業務妨害容疑で逮捕、起訴。現在上告中。2005年に『国家の罠』(新潮文庫)で毎日出版文化賞特別賞受賞。2006年に『自壊する帝国』(新潮文庫)で新潮ドキュメント賞、大宅壮一ノンフィクション賞をそれぞれ受賞。著書に『獄中記』(岩波書店)、『私のマルクス』(文藝春秋)など。

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コメント

受け入れてなんざ居ないですがね。
かつて坂東眞砂子さんのファンでしたが、あの事件から本は全て焼き捨て、1冊も購入しておりません。
名前がちらりと目に入るだけで、嫌悪感と不快感に襲われます。

投稿: 林 | 2009/09/01 18:55:25

読者は一方的に、筆者の価値観に従わなければならないのでしょうか?
人それぞれに思想があり、信念があり、それらは自由であるべきで。
バッシングやデモといった物も、受け入れる側の表現では無いのでしょうか。
私はリアル中学生で子供でありますが、命を手玉にとって、それをさも、自慢するように公表した事は、許せない。そう思います。
それを抗議する手段は、読者である私達にはとても少ないです。
未だ納得もいきませんし、坂東眞砂子さんの価値観は、永遠に受け入れることは出来ないです。

投稿: 林 | 2009/09/01 19:08:34

猫の避妊手術を「残酷」、「かわいそう」と考える人たちは実は少なくない。
そして勝手に外を歩かせておいて、子猫が生まれたら、密かに捨てたり保健所に持ち込んだりする。
日本中には、そういう中途半端な「猫好き」がたくさんいるから、犬の殺処分数は減っているのに、猫の殺処分数は減っていない。

高知新聞の記者が筆者に、(猫を殺すことについて)「何が問題なのか、さっぱりわからない」と言ったそうだ。
愛護団体がまとめた統計によれば、高知県は長崎県と並んで、人口当たりの猫の殺処分数が圧倒的に多い。
高知では、筆者と同じような考え方をする人が多いのだろうか。

本書が広く読まれ、飼い主が避妊手術に抵抗感を持つようになれば、結果として捨て猫が増え、今よりもっと多くの子猫が、ガス室送りになるに違いない。
そうならないことを祈るばかりだ。

投稿: 犬好き | 2009/10/15 18:27:19

人間は決して神ではない。

投稿: | 2010/03/15 18:20:53

「『子猫殺し』バッシングというファシズム」とは?
「『子猫殺し』というファシズム」ならわかるけど。

坂東さんは多くの人に嫌われたけど、虐殺などされていない。
ペンもとりあげられない。こんな本まで出してもらって。
作家生命と印税収入をつないでいる。

子猫たちは、にべもなく殺された。

どちらが、ファシズムなのか。
とても、カンタンなこと。

ただの偽善と、露悪的な偽善では、後者のほうが、
タチが悪い気がする。はんぱな芸術家に多い気がする。

真実は、もっと深いところに、
きれいな水のように、
流れている。

投稿: タカムラ | 2011/02/25 23:40:56

この件、思い出しました。実際に記事を見たわけではなかったので真相を知りたいと思ってました。
赤ちゃんポストができてから、赤ちゃんを放置(遺棄)した事件を耳にする機会も減りましたが、人間は避妊することができるのに何故?といつも疑問に思ってました。

命を絶ってしまうことに変わりはないのに生まれてから殺すのは許されなくて、中絶は認められるという法律が解せない私としては、仔猫を殺す意味から何か導けるのではないかと考えています。

人間の都合で動物を去勢する。一方で絶滅危惧種の保護に熱心だったりする。
同じ生き物なのに抑制される種と保護される種がいる。
最近では新興国の勃興により地球の人口増加が話題になってますが、人間社会でも同じようなことにならないことを祈ります。
購入を検討してみます。

投稿: Q | 2011/08/04 10:40:44

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